新しい朝がきたら8 ページ48
「ベン！ どこにいるの！」
畑の縁に沿って進む。トウモロコシ、ジャガイモ、カボチャ……この辺は新大陸の野菜を育てているらしい。
「ここ！」
人影がのっそり鶏舎の方から現れた。シャベルを片手に掴んでいるのが見える。鶏を放っている地面を均していたんだろう。
遠くからではいまいち気づけないが、近づけば大男であることが分かる。身長なんて子どもたちの倍はありそうだ。
「おはようベン、元気かい？」
「おはようお嬢さま、元気だよ。お嬢さまは？」
「私も元気よ、ありがとう」
オウム返し気味に挨拶を交わした庭師は、私の後ろに目をやってきょとんと首を傾げた。
「……後ろの子どもはだれ？」
「あぁ、この子たちは……あら？」
紹介しようと一歩退くと、腰に軽い衝撃があった。
見下ろすとそれはグルッペンで、私の陰からベンを伺っているようだった。
「……この子たちは、私が買ってきたんだ。昨日からここに住んでる。あとで名札をかけさせるから、名前を覚えるのは今度でいいよ」
「へぇ……」
裾に触れるか触れないかの位置で立ちすくんでいるグルッペンを抱き上げる。拳ひとつ分の距離、少し見上げる位置に白金の瞳。
「グルッペン、大きい人は怖い？」
「あ、え……わたくしは、……、はい……」
「だってさベン、ちょっとしゃがんで？」
地面に膝をついたベンに一歩近づく。
「彼はベネディクト。ベンの方が反応しやすいらしいから、そう呼んでやってね」
「……ベンさん」
「もっと気楽な感じで」
「えっ……ベン？」
「はい、僕がベンです。庭番やってます。馬とか花壇とか触りたかったら僕に言ってください、案内しますから」
グルッペンは遠慮をバッサリ切られてたじろいでいたが、馬という単語に興味を引かれたようだった。
「馬とは、昨日の……？」
「そう、馬車を牽いてくれていた子たちだね。全部で八頭いる。気になるなら会っていこう」
「……あの、」
「なに？」
「自分で歩けますので、」
「だめ」
「えっ」
昨日の馬車の中で以降ほとんど話せていない。
だからだめ。
「抵抗したら次は肩車だよ」
「えぇ……」
友人がいるところで抱っこされているのが恥ずかしいのか、耳まで真っ赤に染めて俯いている。なんだか可哀想になってきてしまったので渋々地面に降ろすと、後ろに控えようとしたので手を捕まえて引き止める。
「……君を困らせるのは正直楽しい」
「っ……、〜〜〜〜！」
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咲季 - 1000票目頂きました…！面白かったです。続編も読ませていただきました！！ (2022年1月10日 19時) (
レス) @page1 id: 96347ca1af (このIDを非表示/違反報告)
ﾅﾐｦの家のあろさうるす - オークションパロってはじめて見たんですが、とっても素晴らしいです！更新待ってます！マンちゃんがかわいくて尊さに耐えきれず死にそうになりました！ (2020年4月4日 19時) (レス) id: 2e27670cb5 (このIDを非表示/違反報告)
吉野あまみず(プロフ) - bhさん» ありがとうございます！ 続編出来ました！ まだお待ちいただけてるでしょうか……？ 良かったら読んでくださいね！ (2020年3月7日 7時) (レス) id: dec961c083 (このIDを非表示/違反報告)
吉野あまみず(プロフ) - キャラメル中毒者さん» コメントありがとうございます！ 続編投稿致しました！ 楽しんでいただければ幸いです！ (2020年3月7日 7時) (レス) id: dec961c083 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、気長に更新待ってます、応援してます。 (2019年12月24日 12時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉野あまみず | 作成日時：2019年8月22日 6時
