カラスが鳴くから5 ページ15
行きより狭くなったキャビンの中は、反面なかなか楽しかった。
宣言通り膝にグルッペンを乗せた私は、邸に戻ったらすべきことに思いを馳せていた。
侍従長に告げ口する、と言われたから、どうせ今日すぐ必要なものは揃えてくれているだろう。
服が要るな。仕立て屋に手紙を出さないと。私の屋敷に子供服は無いから。いや、私の子供時代の服ならあるかもしれないが、さすがに少年にドレスを着せる趣味はないなぁ。あくまで繋ぎにシャツくらいなら出してきてもいいか。
鎖も外したし身分証明になる物が要るなぁ、いつかは街に降りることもあるだろうし。身につけておけるものがいいだろうが、どうしようか。
彼らは玩具を喜ぶだろうか? 小さい子ならともかく、上の子らには書庫を開けてやろうか。
「楽しそうですね」
向かいに座った侍女が呆れたように笑う。
「楽しいさ。やることが多いのはすごく楽しい」
「でしょうとも」
彼女は横に座った赤目の少年に話しかける。
「Aはね、悪い主人じゃありませんよ、変だけど」
「へん」
「とても変」
「聞こえているのだけどわざと?」
「もちろん」
「そういうところよ」
「こんな風にかなり気が長いわ」
「実演していただかなくても!」
「ははは」
グルッペンの腰に回した腕を組み直す。
「まぁ、さっきグルッペンにも言ったけれど。私は猫を買ったような心持ちでいるから、君たちも猫のように気ままに暮らすといい。最初は難しいだろうけど、じきに慣れるから。うちの侍従らも助けてくれるでしょうし」
そこの自由なのとかがね。
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咲季 - 1000票目頂きました…!面白かったです。続編も読ませていただきました!! (2022年1月10日 19時) (レス) @page1 id: 96347ca1af (このIDを非表示/違反報告)
ナミヲの家のあろさうるす - オークションパロってはじめて見たんですが、とっても素晴らしいです!更新待ってます!マンちゃんがかわいくて尊さに耐えきれず死にそうになりました! (2020年4月4日 19時) (レス) id: 2e27670cb5 (このIDを非表示/違反報告)
吉野あまみず(プロフ) - bhさん» ありがとうございます! 続編出来ました! まだお待ちいただけてるでしょうか……? 良かったら読んでくださいね! (2020年3月7日 7時) (レス) id: dec961c083 (このIDを非表示/違反報告)
吉野あまみず(プロフ) - キャラメル中毒者さん» コメントありがとうございます! 続編投稿致しました! 楽しんでいただければ幸いです! (2020年3月7日 7時) (レス) id: dec961c083 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、気長に更新待ってます、応援してます。 (2019年12月24日 12時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉野あまみず | 作成日時:2019年8月22日 6時