君の言うたっちゃんは俺じゃない (ページ6)

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阿部side

目の前にショックを受けた表情をするふっか。

あの時のこと、今でも鮮明に覚えている。

泣きながら、嗚咽を漏らしながら手元をガチャガチャと鳴らすAとの通話を。

『ねえ亮平、たっちゃんはこれからSnowManとしてまた活動して行くんでしょ？まだ未来はあるよね？

邪魔になりたくない、責任背負わせたくない、

だってゴムしてたんだもん、たっちゃんは私を考えて絶対ゴムしない時なんてなかったもん、

こんなこと知ったらたっちゃん絶対自分のこと責めちゃう』

ふっかへの思いを漏らすAは本当に今にも壊れそうだった。

その日の夜、SnowManの全員でご飯に行く予定だったが蹴ってAの元に行った。

俺が着く頃には丁度家を出ようとしたところで、キャリーケースを持っていたところだった。

『亮平、なんで』

「Aの手伝いに来た。これから千葉帰るんでしょ、送る。」

『いいよ、亮平明日も忙しいでしょ、てかみんなでご飯なんじゃないの』

「蹴った。ふっかは暫く帰ってこないし、帰るなら今しかないよ。着いてくから、離れる覚悟はできてんでしょ」

Aはこくん、と頷いた。

Aの小さくて細い手を握って駅へ向かった。

新幹線では喋らず、ただお互い静かに手を握り合うだけ。

なんか切り出そうか、そう思った時Aが話し出した。

『…たっちゃんの服、1枚持ってきちゃった、気づくかな、怒るかな、

もしたっちゃんに聞かれても亮平は知らない、だけで良いからね。実家は教えないでね、

でももし子供が産まれたら亮平見に来て。』

パパとママの大事なお友達、ってことで。

そう笑うAの表情はもうお母さんだった。

千葉の実家まで送り、東京に戻った時には、ふっかは放心状態だった。

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そこから、暇な時はAに会いに行く生活を始めた。

千葉から東京の定期代は申し訳ないことにAが持ってくれた。

払う、って一点張りだったから会いに行った時料理を作る、という条件を付けてもらった。

『わ！お腹蹴ってる！！すごい、元気な男の子産まれるよこれは』

「すごいね……てか、名前とか決めたの？」

『ううん、決めてない。でもたっちゃんって呼びたい。』

「たっちゃんはふっかじゃないの？」

『うん、私にとってのたっちゃんはこの子にしたい。たっちゃんはもう、会えないから』