彼は私に冷たい【snr】

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「おかえり」
「…ただいま」
「お風呂湧いてるけど、先に入る？」
「そうする」

私を一瞬視界にとらえた後センラは振り向くことなく脱衣所へと向かった。いつもよりか柔らかい表情とは言えども、確かに機嫌が宜しくない。まさか同僚に嫉妬？否、そればっかりは有り得ない、と自問自答する。


いつの日か交換したものの、使うことは無いだろうと思っていた連絡先にメッセージを送れば、折り返すように鳴り響く着信音。リビングで堂々と通話するのも少し気が引けて、急いで自室へと移動し電話に出る。


「…もしもし」
「もしもし、Aちゃん？今センラいる？」
「ちょうどお風呂で…」
「なるほどね。…で、センラが不機嫌な事についてやっけ」
「はい、うらたさんからも帰ってきたら不機嫌のかもしれないけど気にしなくていいとは言われたんですけど…」
「まぁ確かに気になるよなぁ…」


クク、と小さく笑っている電話越しの彼、志麻さん。リーダーであるうらたさんや同い年の坂田さんへの連絡も考えたけれど、相棒として動くことの多い志麻さんに相談してみようと思ったのだ。


「でもなぁ…」
「志麻さん何か知ってるんですか？」
「まぁ、何も知らんって言うたら嘘になるけど、これは俺の口からは言われへんかな」
「いつかセンラの口から聞けるかもしれへんし気長に待ってみたら？」


…何か聞けるかもしれないと思い続けて今に至ってるから困ってるのだけど、ということは口に出さないでおく。


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