ふぇいくかっぷる。《Ryohei.A》 (ページ7)

今日:14 hit、昨日:45 hit、合計:503,041 hit

＊06 ページ7

.

顔、近いって…

足が怯んで動かないとはまさにこのことだ。

.

だ、誰かぁ…！！

.

宮「あれ、阿部。その子どうしたの？」

.

ふと後ろから声がして、阿部さんが私から離れる。

小さく耳元で、残念。そう呟いた。

はい？残念って何が？でも、とりあえず助かった…

.

阿「おはよ。紹介するね、今日から入社して来た羽瀬Aさん」

.

さっきまで私に向けてた顔が嘘のように、優しい阿部さんに戻る。

それはもうひどく頭が混乱して…

.

宮「あぁ、昨日社長が言ってた。

こんにちは、宮舘凉太です。多分同じ部署だと思うので、よろしくね」

.

そう手を出して来た宮舘さんは貴公子のように爽やかに笑った。

なんか品がある感じで、こちらも阿部さんと同じく育ちが良さそう。

.

あ「羽瀬、です。よろしくお願いします」

宮「俺と阿部は同期なんだ。なんか分からないことがあったら何でも聞いてよ」

あ「…はい！是非聞かせていただきます！」

.

宮「特に阿部に関しては何でも教えてくれるよ。おまけに優しい、し」

あ「それは…分かります」

阿「ふは、やめてよ。舘さんには敵わないよ」

.

なんだかんだ話は弾み廊下を歩きながらそんな会話を。やっぱりさっきのは『幻』と思っていいの？

.

今の阿部さんは全然…

初めて出会った時とおんなじだから。

.

＊

.

『今日からこちらの部署に異動になりました羽瀬Aです！ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します』

.

挨拶も済んで、自分の席へと腰掛ける。

ふぅ。とりあえずなんとかひと段落だ。

なんだかんだみなさんいい人そうでよかった…

.

『、阿部さんここの資料ってどうしたらいいですか？』

阿「それは第2会議室に置いておいてもらえる？」

『阿部さん。電話でクレームがありまして』

阿「ん。ちょっと代わって」

.

みんな阿部さん、阿部さんって。すっごいなぁ。

本当にエリートっていうかこの部署で重宝されてるんだって分かる。まさに仕事の出来る人。

.

そしたらやっぱり…

.

さっきの阿部さんは尚更…

.

『恋愛禁止なんてさぁそんなの退屈だと思わない？』

.

きっと、気のせい。私の勘違いだったんだ。

はあ、でも勘違いでよかったぁ…

.

頬をパチン、と叩くと気を紛らわすようにデスクの準備を始めた。

.