ふぇいくかっぷる。《Ryohei.A》 (ページ5)

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「羽瀬くん、よく来てくれたね。入りたまえ」

あ「失礼致します」

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あっという間に次の日を迎えて、入社初日。深い椅子に腰をかける社長が私を見て微笑んだ。

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あ「羽瀬Aです。どうぞよろしくお願い致します！」

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ついに来てしまった。

さすが大手の親会社。中は厳重な警備で、施設も広くて、とんでもなく綺麗で。

偶然とはいえ、どうして私がここへやって来ることになったのか…？

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その答えは未だ見つかりやしない。

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「話は顔合わせの時に聞いてると思うが、ここは海外との交渉が主な仕事だ」

あ「はい。もちろん熟知しております！」

「分からないことも多いと思うが、まぁとりあえず周りの者に聞いてもらえれば」

あ「そうさせて頂きます」

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君は、仕事がとても出来る者と聞いているから期待しているよ。

そんな社長の言葉に胸がぐっと熱くなる。

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「これが入館証だ。常に持ち歩いておいてくれたまえ」

あ「はい！」

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首からそれをぶら下げると、やっとここの社員になったんだと実感が湧いた。

気持ちを切り替えて、頑張って行かなくちゃ…

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「あと、ひとつ大切なことを言っておく」

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あ「…何でしょう？」

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神妙な面持ちで社長が私を見つめた。

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「社内恋愛は《禁止》だから、絶対に守るように」

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恋、愛？えっ、そんなこと？

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「発覚したら即、クビだ。いいね？」

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社長の面持ちから本当にクビになる、ということが伝わって来る。

今のご時世社内恋愛禁止でクビ、とかあるんだ…でも。

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あ「それは100%ないので安心して下さいっ！」

私が恋愛？うん。あり得ないそんなこと。

私の言葉に社長が満足そうに微笑んだ。

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阿「…社長、来週の会議で必要な資料お持ち致しました」

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バタン、と突然入って来たその彼。

聞き覚えのある声だった。えっと、この方は…もしかして？

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彼も私に気付いたのかすぐに真顔から優しい柔らかい表情へと変わり…

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阿「ご無沙汰してます」

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そう言った。

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