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会議室までの道のりはお互いになんの会話もなく沈黙が続いた。
このまま無言で何もなく終わればいいのだけど…
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まとめてある必要な書類をデスクに並べて行き…そうして、業務を終える。
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やはり二人きりは気まずい。
ひとまずこの閉ざされた空間から出たい。
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この部屋から出ようと、そう足早に歩くスピードを進めた時だった。
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阿 「ねえ…」
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あの時と全くおんなじ。
阿部さんの少し低い声が耳に届いた。
ねえ、ってもちろん私に言ってるんだ、よね…？
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あ 「は、い…」
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私、平然装えてる…？
けどそんな私の嘘も見破って覚束ない返答に
悪戯に笑った彼は顔を一瞬背けて口を開いたんだ。
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阿 「もしかして、びっくりさせちゃった？」
あ 「えっ…」
阿 「見てたでしょ、昨日。俺が何してたか…」
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とぼけても無駄だよ。彼がまた笑う。
な、何。なん、なの…急にそんな。
阿部さんは、もし私が見てたって言ったらどうするつもりなの？
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妖しい笑顔を浮かべた彼は私とじりじり距離を詰めていく。
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一歩、また一歩と…
彼の吐息さえも感じられるくらいの距離に。
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コツ。逃げるように後ずさっても…
気付けば壁と阿部さんに挟まれて逃げ場は無くなる。
私の顔の横には阿部さんの手が。
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逃げようと思えばきっと逃げれる。
なのに思うように身体が動かない。なんで…
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阿 「社内恋愛禁止なのに何してんの、とか思ったでしょ？」
あ 「、それは」
阿 「…それがいいんだよ。なんかゾクゾクするじゃん。誰も知らない秘密を共有するのってすっごく楽しいことだと思わない？」
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近くなった距離で、耳元で囁かれて身体がゾクっとする。
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やっぱり昨日の光景は『幻』なんかじゃなかった…
そして勘違いでも。
アレは正真正銘阿部さんの裏の顔。
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『なんかゾクゾクするじゃん』
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そう妖しく笑う彼が悔しいけどかっこよくて、魅惑的で…
目を奪われるばかりなんだ。
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みきぽん(プロフ) - い、飲酒運転…？？そこだけは現実味ないかも、でも話の内容に引き込まれる！✨ (2021年11月1日 18時) (
レス) @page22 id: 6c9a88d371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年12月14日 10時
