因果応報 (ページ32)

今日:1 hit、昨日:13 hit、合計:260,858 hit

-32- ページ32

紫Side

康二が出て行ったのを確認して
もう一度写真立てを持ち上げる。

幸せそうな二人を見て苦しくなった。

「めめ……」

康二が事故に遭ったあの日から、
めめのこんな顔は見たことが無い。

思い出すのは涙、涙、涙。

苦しそうに泣き続けるめめばかり。

「……最低だよな俺」

そんな顔をさせているのは
俺が原因だって分かっているくせに…

それなのに俺は康二といたいと思ってしまった。

浮気したお前が悪いなんて。

めめがいるのにもかかわらず
記憶の無い康二に告白して
付き合っている俺に
めめを責める筋合いなんてない。

「…っごめん…」

ぽたっ、ぽた…。

笑顔の二人に涙が落ちてぼやける。

それが今の二人を表しているようで
見てられなかった。

「別れたく…ない…っ」

ずっと手に入れたかったモノ。

ずっと手に入らなかったモノ。

それを手にしてしまった俺は
もうどうすれば良いのか分からない。

…いや。

康二と別れるべきなのも、
康二の記憶が戻るようにサポートするべきなのも、
康二をめめの元に返すべきなのも、

本当は全部分かってる。

それなのに分からないふりをして
今はまだ康二の傍にいたいなんて…。

とことん自分勝手な奴だと、
自分自身に呆れる。

「ふっかさん起きた～？」

「ん。」

控えめに俺を呼ぶ声にかろうじて返事をする。

結局一睡も出来ぬまま朝を迎えてしまったらしい。

「ご飯出来てるで。顔洗ってき？」

「うん…」

眩しい笑顔から慌てて目を逸らす。

騙してる俺が見ても良い笑顔じゃないと思ったから。

「…ごちそうさま」

「あい。お迎え俺ん家でえぇ？一回帰る？」

「いや、こっから行く。まだ時間あるよね？ちょっと寝るわ」

今日は音楽番組のリハーサル。

ダンスをするのに一睡もしてないはさすがにヤバい。

そう思って康二に言うとまだ寝るん？って
呆れてたけど無視して目を閉じた。

「ふっかさんお迎え来たで」

「ん…」

ゆさゆさ、体を揺らされて目が覚めた。

目の前にいるのは当たり前だけど康二。

「ち、けぇよ…」

「え？あ…///」

そう言うと少し赤くなる康二に
勝手にドキッとした。

諦めたいはずなのにこんなに近くにいると
馬鹿みたいに心拍数は上がるし
もっと好きになっちゃうじゃねぇかよ…

・