もっとちょこっと (ページ2)

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手にしたブラックのコーヒー。

それと俺の好きな甘めのパン、じゃなくてその隣の野菜の入ったサンドイッチ。

3年前は飲めなかったブラックコーヒー。

なのにいつの間にやら飲めるようになってたよな。

甘いもの苦手なのは変わってないけど。

北山の家に行く前にコーヒーショップに寄るのもあの頃と変わらない癖。

今はこんな状況からか何処も開いてなくてコンビニってのがあの頃と変わった点だけど。

俺の運転だとすぐ寝ちゃう北山。

コーヒーにしたのは寝かせたくなくて。

久々に過ごす北山との時間がそれでは惜しいと思ってしまったから。

「よっ！わりぃな急に。」

「全然。どこ行くの？」

「んーとりあえず海で。」

「…とりあえずって場所かよ。」

何が面白いのかケラケラ笑って当たり前のように助手席で寛いでる。

ずっと今まで一緒に過ごしてきたみたいに。

…まるで明日からも一緒に居る、

そんな錯覚さえ覚えてしまう雰囲気。

こんなにもすんなりと人の懐に入ってきて大丈夫だろうか。

北山はパーソナルスペースに入り込むのがとことん上手い。

そんな所、変わってない。

「お！これ俺の？」

「うん、いるかなって。どうせ家にいるとろくなもの食べてないでしょ。」

「俺だって自炊くらいしますー。」

「って言っても始めたの最近でしょ？」

「バレちった笑」

今更北山とプライベートで会って何を話したらいいんだろう、

なんて悩む必要性は皆無だった。

長年共に過ごしてきただけある。

やっぱり北山の隣は心地が良い。

お互い気取らなくていい関係性。

そう思ってるの此方側だけだったりしたらわりと凹むけど。

だけど、それでも。

俺達の間には無くせない過去がある。

たまに感じる壁がある。

気付かないフリをしたくてもそれは決して無くならない。

…まぁ、元恋人同士だったらそんなものだろう。

仕事を続けてく上で俺と北山が離れる事は無いだろうから。

お互い上手く付き合っていくことは大事だ。

…ねえ、そうでしょ？北山。