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10． ページ10
リ
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漫劇から少し離れたコンビニで
Aは待っていた。
リ「 ごめん遅くなった 」
「 大丈夫、私も今来たところやから 」
待ち合わせのよくある会話を適当に流して
隣に立つ。
流れる沈黙がむず痒い。
「 …なんか用事、あるんやろ？ 」
手に持っていた雑誌を閉じて
つま先を見つめる。
続いた沈黙を切ったのはAだった。
リ「 いや、話というか…
久々に会ったから、なんというか
こう、、話をしたくて…… 」
自分でも何を言っているのか分からん。
必死に会話をしようとして動く手も
それでも出てこない言葉も、全部がもどかしい。
リ「 朝、ごめんな
変に止めてもうて 」
「 あー、それは私もごめん 」
リ「 Aが謝ることじゃない
俺が、Aに会えてびっくりした……というか
嬉しくて、でしゃばってもうた 」
「 まぁそれはそうやな
名前呼ばれて追いかけられて手ｪ掴まれるなんて
そうそう体験するようなことちゃうしな 」
そう言って笑うAも
やっぱり目は合わんし、ずっと下を向いていた。
「 改めて、久しぶり 」
リ「 おう、久しぶり 」
また流れる沈黙の居心地が悪くて
外に出ようかなんて提案する。
星すら隠してしまう大阪の夜は
まだ賑やかさを残していた。
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作者名：ゆぽる | 作成日時：2022年7月20日 22時
