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目をうっすら開けると白い天井らしきものがみえた。
わたしは横たわっていて布団がかけられていて、そこが病院だとわかるのに時間はかからなかった。
上を見上げると点滴がぶら下がっていて、管がわたしの腕に繋がれていた。
脚の方を見ると、そこには知らない男の子が布団に顔を埋めて寝ていた。
その横顔はまつ毛が長くて鼻が高くて目に少しかかる前髪がとっても綺麗で、つい見とれてしまった。
でもこの子は誰？
見たことないし、なにしろ男の子なのが怖くてまた"あの"悪夢を思い出す。
するとわたしが起きたことに気づいた彼がむくっと起き上がった。
「あ、起きました〜？大丈夫ですか？」
と右目を擦りながらわたしに問いかけてきたその人は寝ていたときよりももっと美しくて、
その目に吸い込まれそうになった。
「は、はい。大丈夫です。ありがとうございます…」
とわたしは少し俯き気味に答える。
「よかった〜。」
彼は欠伸をしながら伸びた。
「あの…ありがとうございます、助けていただいて、、すみませんお時間大丈夫ですか？予定とか…？」
というとその男の子は頭をかきながら陽が射したような笑顔であははと笑った。
「いや、いいんですよ。時間あったし、心配だったし。あ〜よかった起きて。顔色もさっきより全然いいよ、じゃあ僕はここで。」
と黒いチェスターコートに袖を通す。
「あ、待って！お名前教えてください！お礼！…したくて………」
「僕の名前…？あぁ、お礼なんていらないよ。」
「でも…」
「だって、震えてる。」
彼は。気づいていた。
わたしが男の人が怖いことに怯えていたことに。
「さっき寝てるときも震えてた。唸ってたよ。僕、行くね。お大事に。」
と病室のドアに手をかける。
「待って！お名前だけ…」
震える声で彼を呼び止める。
「柴崎楽、だよ。僕の名前。」
彼は振り返ってそれだけ言うとまた陽が射したような笑顔をみせて出ていった。
「しばざきらく………」
彼が扉を閉めた瞬間、少し開いた病室の窓からあたたかい風が吹いてきて桜の花びらがひとつ。
ひらりと病室に舞い込んできて、わたしに本格的に春がやってきたことを知らせた。
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作者名：すめる | 作成日時：2019年1月18日 23時
