【ハリーポッター】吸血鬼少女は戦う【１１章】 (ページ44)

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甘く熟れたフルーツを食して、レギュラス直伝のレモンティーを飲めばとりあえず考えもまとまった。
片付けられた木製のテーブルの上に二人の契約書と給料明細みたいな書類を乗せればキャロルとフィニの顔色が曇った。

『気づいてはいると思いますが…この魔法界でいつ戦争が起こってもおかしくない状態です。』

マグルの世界で橋が落ちたり、人が殺されたり、人間界の大臣の部下の一人が不完全ながらも服従の呪文にかかってしまった。
ファッジは元大臣となり、代わりに任命されたのはルーファス・スクリムジョール。正直私とは反りが合わないランキングで上位に入るような人間である。
あんまり個人的に話したことはないけれど…少なくとも闇祓いというだけでそのランキングに入るのに値するわけだ。

『ですので、２０歳までという契約を違反するので、この額で納得してもらえないでしょうか？
後、死喰い人に詮索されたら困るので、申し訳ないのですけど記憶操作をさせていただきます。』

キャロルに契約違反の違約金とこれまでのボーナスとして１万ガリオン、そして好きな物件を一件買う、あるいは譲渡する趣旨が書いてある紙を彼女の前に差し出した。

同じくフィニにも同条件の文書を出す。
これで４年くらいの生活は保証される計算となっている。勉強したり、資格を取ったりする時間もできるから…これでどうだろうかと考えた結果だ。

納得できないと言った顔で二人は書類と私の顔の間を行き来している。

「僕としても、できればこういう形じゃなく、二人が幸せになるためにやめて行って欲しかったのですが、何せこの御時世…しかも僕達のこの立ち位置が問題です。
僕達だけで二人の安全を保証することは無理に等しいので、まだ"名前を言ってはいけないあの人"に存在を知られる前に…」

『新居で、必要そうなものがあればもちろん私たちが揃えます。
…本当に中途半端でごめんなさい…でも、二人がいてくれて私本当に楽しかったです。』

ありがとう、と席を立って二人にお辞儀すると、彼らは黙りこくってしまった。

本当に申し訳ないけれど、こうする方が二人の安全のためになると信じて…
　
　