移動手段 ページ31
ぐるりと若干胃がうらがえるような感覚を覚えたのちに芝生の上に着地する。
ちょうどそこは城への入り口付近で、橋の向こうからハリー達が走ってくるのが見える。
「ハーマイオニー、A、マルフォイ！
無事だったんだね、よかった。」
「貴方達こそどうやったの？」
駆け寄ってきたハリーにハグをしてハーマイオニーが問えば、後ろから何やらの箱を手にしたロンがこちらにやってきた。
あぁ、改良版ずる休みスナックボックスか。
「…まさかとは思うが、クラッブとゴイルは食べたのか…」
他の親衛隊メンバーはどうでもいいけど、あの二人ならやりかねない、というか食べたのならどれだけ間抜けだ…と若干冷や汗をかいたドラコは聞いた。
後ろに立っているパンジーは美しいほど残酷に、えぇそうよ。と答えた。
「私とミリセント以外は全員食べたわ。
まぁ、あんな頭でっかちなんて知らないけど。」
ふんっと腕を組んだ彼女がおんなじ寮生を貶したのはこれまでで初めてかもしれない。
その事実に驚くまもなく、ハリーはとりあえず暖炉以外に魔法省に行く方法を知りたいようだった。
…参加人数によってはそりゃあ転移魔法で送ってあげてもいいのだけれど、少なくはなさそうだし…
「セストラル、それで行こう」
ルーナの少し不思議なぼーっとした声に議論が一旦中断された。
セストラルってなんだっけ、の言葉を出そうとしたロンは謎の空気に圧倒されて聞けなかったようだ。
「…いや、ダメだ。
君たちは関係ないんだからくるべきじゃない。」
ハリーは提案したルーナ、そしてそれに同意するように頷くジニーとネビルを見て首をふるも、猛烈な抗議にあい、渋々連れて行くことが決まったようだ。
かなり不本意そうではあるけれど。
「…君達はどうするの」
私とレギュラス、後ろに立つパンジー、ミリセントそしてドラコを見てハリーは問うた。
できれば戦力として私にきて欲しそうな目で見ているが、よく考えたらAは向こう側と繋がっているから無理か、と期待が瞳の奥で萎んでいくのが見える。
『セストラルを呼び寄せるくらいなら、やりましょう』
なお、掌を切り裂こうとすればハーマイオニーとパンジーに真剣な顔で止められてしまった。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
