将来 ページ12
「僕、ですか？」
スカーレットに話を振られたレギュラスは考えたこともなかったな、という表情をして、顎に手を当てて考え出した。
確かに、１回目の学校生活では家の名誉挽回のためにあの方に仕えることしか考えてこなかったのだから、当たり前か。
１分近く経っても考え込んでいる彼を見てドラコは意外だな、と声を挟んだ。
その言葉に同意するように同席していたメンバーは私とレギュラスを除き全員がうなずく。
「抜け目ないからもう先のことまで事細かに決めているのかと思ったわ。
後々Aと結婚するんだから、そのことも視野に入れると領地をどうする…みたいな。」
パンジーはポカンとした表情を改めてそう言うと、スカーレットは"結婚"という単語に反応した。
「先輩達結婚なさるんですか…？」
恐る恐る、そう問うた彼女は嬉しそうだ。
レギュラスのことが好きだったから、もう少し違う反応をするかと思ったのだけれど、と思っていることがバレたのか彼女は微笑んだ。
「そりゃ、レギュラス先輩のことは好きでしたけど、A先輩以上にお似合いの方なんていませんから。
ドレス姿もきっと綺麗なんだろうなぁ…」
頬を髪の毛と同じくらいに紅潮させた彼女は幸せそうに笑みを浮かべている。
隣に座るアストリアはこう付け加えた。
「それにスカーレットは今レイブンクローの同級生にお熱だものね。」
さらに頬を真っ赤に染めた彼女は内緒、と人差し指を唇に添えた。
ーーーーーー
気分転換に外に出て行ったパンジー達を見送り、私とレギュラスは部屋に戻る。
主に私の体調が優れないという、まぁ外れてはいない理由だが、本題は違うところにある。
『で、シリウスの対策、そろそろ立てないと。』
その話題を振るたびにうまくかわして来たレギュラスをカウチに座らせ、クッキーと紅茶をテーブルに置く。
観念したようにソーサーごとカップをもちあげた彼は小さくため息を吐いた。
「僕が殺します。」
私の目を真っ直ぐ見てそう言った彼は、実に正気な目を、表情を、していた。
まごうことなき彼の本心で、言い間違いでも、聞き間違いでもない。
彼は私がちゃんと理解できるようにか、彼自身に言い聞かせるためにか、もう一度その言葉を繰り返した。
『…レ、レギュラス…？』
動揺のあまり、私は彼の名を口にすることしかできない。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
