第百八訓 ページ18
一週間後、Aは退院した
目覚めてからというもの…
相変わらずの驚異的な回復力で刺傷は数日で完治していた
足の方も特に異常なく回復し、経過観察とリハビリの為更に数日入院生活は続いた
これまたブランクを感じさせない筋力回復っぷりに医者は度肝を抜かれていた
何度か近藤と土方が見舞いに来てくれたが、沖田とはあの日以来会ってない
しかし、汁粉屋事件については土方に確認程度の質問をされたぐらいで終わったため、沖田は例の件を黙ってくれているのだろう
荷物をまとめ、世話になった先生たちに挨拶を済ませたAは二週間ぶりに病院の外に出た
「Aちゃん、こっちこっち！」
『迎えはいいって言ったのに…ありがとうございます』
退院する日を伝えた際、近藤は迎えを寄こすと言って聞かなかった
てっきりパトカーで暇な隊士が来るものと思っていたが、まさか局長本人が来ているとは
しかも近藤が乗ってきたのは黒塗りで胴長い車…よくお偉いさんが乗ってるアレだ、リムジンとかいう車
「屯所まで頼む」
運転手にそう言った近藤の隣で、初めて乗るソレに若干緊張しながら久々の江戸の町並みを眺めた
あの日の火災による被害の大きさは、通り過ぎ様に見えた焼け崩れた一帯が物語っている
幸い火災による死者は出なかったらしい
しかし、かつての自分のせいで関係のない人間を巻き込んでしまった
焦げた家屋が目に入る度に鬱々とした気分が増していく
二週間ぶりの屯所
ひどく懐かしく感じるその屋敷を見上げ近藤と門をくぐった
『……』
大丈夫だと思っていたが、次々と脳裏に蘇ってくる思い出
この広場で、助けてもらったんだっけな…
あっちの立木でよく稽古つけたっけ…
あァ、あの木の傷…お菓子取られてムカついて蹴飛ばした時の…
玄関に入るまでの数十歩でもどんどん浮かんでくる
ﾀｯﾀｯﾀ
＿師匠！
『…っ』
ﾊﾞｯと振り返ったがそこには誰もいない
微かに揺れる木の枝葉を視界の端に捉えただけだった
「Aちゃん？」
先を歩いていた近藤が立ち止まったAに気付き声を掛ける
何でもないです、と首を振り近藤の後に続いた
自室へ戻る前に近藤から局長室へ呼ばれた為一緒に向かう
その間も色んな光景が蘇ってくるものだからAの気分は下がりっぱなしだ
浪士組結成時から約四年
立花は、Aの隣から消えた
理解していたつもりだが、病院に居た時とは比べ物にならない痛み
心臓が握りつぶされそうだった
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みぃ(プロフ) - この作品とっても大好きです！更新頑張ってください！ (2019年6月15日 16時) (
レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
伝説じゃないパンダ(プロフ) - とても、面白かったです！続きがとても楽しみです！立花。。。。あ、立花ぁ〜。続編おめでとうございます！！更新応援しています！ (2019年5月3日 20時) (レス) id: 38426ec896 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！立花、、、、辛いです(泣) 続き楽しみにしております。頑張ってください！！ (2019年4月18日 1時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
時神時神@コーラ中毒(プロフ) - 立花……（泣）続き楽しみに待ってます……立花ぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ (2019年4月18日 0時) (レス) id: 6a39446066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまね | 作成日時：2019年4月17日 23時
