【銀魂】Sleeping PrincessⅡ (ページ49)

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第八十九訓ページ49

「お前が"おやっさん"と慕ってたのは、幕府の転覆を狙うただの人殺しさ」

ま、てめェも人殺しの片棒担いでんだから俺たちと一緒か

あんだけ町に火放って、何人死んだんだろうなァ

「…っ」

「善良な市民殺すなんて、復讐に取りつかれてやってることはその女と同じじゃねェか」

『黙れ』

「おぉ怖い怖い、んな目向けるなよ嬢ちゃん」

『火を放ったのはあんたら花林党の残党でしょ』

「は？」

『だから、町放火したのはあんたら花林党の残りカスたちによるものだっつってんの』

「…まさか、警察の癖にコイツ等見逃す気か？正気かテメェ。贖罪のつもりか？」

『贖罪？私のやって来たことがこんなモンで洗い流せる訳ないでしょ…こんな生まれたての小鹿みたいな連中に人殺しなんて出来るかっての…』

「ｸｸｸ、ま、嬢ちゃん殺せば丸く収まるから…どうでもいいけど、なァ！！」

辰巳はAの腹に突き刺していた刀を一度抜き、構えなおしたソレを振り上げた

ブシュァッ

勢いよく飛び散る血
ｶﾀｶﾀと震える刀

『やっと、痺れが取れた』

不敵な笑みを浮かべるAは、縄を引きちぎり自由になった手で刀を受け止めていた

刀が食い込む左手からは血が噴き出ているがAは一切気にする様子もなく力を込めていく

パキンと音を立てヒビが入った刀を見た辰巳が一瞬怯んだ隙にその体を蹴り飛ばした

『おい、お前ら』

ﾋﾞｸｯ

揃って怯えた顔をする男たちを一瞥しAは言った

『人殺しってのは、こういう人間のことを言うんだよ…覚悟もねェのにそんなの扱うもんじゃない』

ｶﾀﾝ、ｶﾀｶﾀﾝ

持っていた刀や銃が地面に落ち男たちの戦意が喪失したのを見て内心胸をなでおろす
これ以上罪重ねられるのは面倒だ

『いいか、お前たちは速やかにここを離れろ。今回の件は、花林党の残党が行った真選組への復讐。
お前たちは何の関与もしていない』

分かったら行け！
そう叫ぶと、男たちは情けない声を上げながら駆けていく

『…何してる、あんたもさっさと行け』

一人残った森司はまだ銃をこちらに向けていた

「…何のつもりだ、贖罪でも何でもないってんならどうして俺たちを庇う」

『……人殺しを理解しようとするな、お前たち綺麗な人間には到底解らないさ』

「ふざけるな…この七年、どこにもぶつけられなかった怒りの矛先がようやく見つかったんだ。死んだと思っていたあんたが生きていて、警察なんかになっていて…やっと、兄上の仇が討てると…」