【銀魂】Sleeping PrincessⅡ (ページ34)

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第七十八訓ページ34

『ねェ沖田、これどこに向かってんの』

「ご主人様だろ？ポチ、言葉遣いがなってねェ」

『(死んだ方がマシかもしれん)』

自分の顔から表情という表情が失われていくのが分かる

江戸の市中をひたすら練り歩き公然の目に晒され続け30分

屯所で鎖と首輪を見せられた時は何の冗談かと笑ったが…

コイツ、マジだった大マジだった

初めこそ抵抗し何とか逃げようとしたものの、突如全身を襲った爆風と共に視界が暗転…

次に目を覚ました時にはジャラジャラ音を鳴らしながら市中を引きずられている際中だった

この辱しめは一体いつまで続くのだろう…

『(あ、髪紐…そういえばさっきの試合で切れたんだっけ…)』

悟りを開いたような目をしたAがふと通りの雑貨露店に目を向けていた時だった

ｻﾞｯ

ズラリと二十人程の男たちがあっという間に沖田とAを囲み、進路を断たれた二人は足を止める

「真選組一番隊隊長、沖田総悟殿とお見受けする」

ヒィイイイ！

辺りから悲鳴が上がり逃げ惑う人々
白昼堂々こんな人通りの多い場所に刀引っ提げた男共が現れたら一般市民も混乱するというもの

今日は厄日か何かだろうか？

『沖田、あんたの客でしょ。どうにかしてよ』

「俺今日非番だし」

『いや私もだわ』

ハァーア
Aは最大限の恨みを込めて、腹の底からの溜め息を吐き、腰に差した刀に手を掛け…ようとした

ｽｶ

『…アレ』

ｽｶ、ｽｶ

『……』

ｷﾞｷﾞｷﾞ、と壊れたブリキのおもちゃのような動きで左腰に顔を向ける

『…沖田』

「んァ？どうした」

『…得物が、ないんだけど』

「何言ってんでィ、獲物ならいるじゃねェか目の前に沢山」

『いやその獲物じゃなくて得物！！私の刀どこいった！？』

「刀ァ？……あ」

『″あ″って何、何知ってんの！どこにやったの！？』

「いや、バズーカぶっ放した後そのまま引き摺って来たから屯所に置きっぱなし…」

『……』

そうだったァ！

クソ沖田のせいで何の準備もせず連れてこられたから刀部屋に置きっぱなしじゃん！

『アレ、でも何で私笠被って…』

「それはてめェの部屋から持ってきたんでィ。後で倒れられたら面倒なんでな、感謝しろィ」

『何ナチュラルにとんでもないこと言ってくれてんの、部屋入ったの、女中棟内は男人立入禁止だろうが！つーか入ったなら刀も持って来いや！！』

間違いない、今日は厄日だ