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第六訓 ページ7

次の日の朝、事件は起きた

朝ごはん担当だったグループが自分たちの分しか用意しなかったため抗争が勃発したのだ

血の気の多い派閥同士は何でもいいから喧嘩理由が欲しかったのだろう


腹が減っていることなんて忘れ喧嘩に没頭する男たち

それぞれの(トップ)が倒れるまでその戦いは続いた


この出来事がきっかけとなり、それ以降は何かにつけて喧嘩をしては自分たちが最強だなんだと宣い始めた

仲間だなんてもっての外、組はただの派閥のつぶし合い集団に成り果てたのだった


数日後、松平の側近佐々木異三郎が浪士組本結成が決まったことを伝えにやってきた

それにより組織の指揮をとる頭と隊内の編成を話し合って決めることになったのだが…

我こそトップに相応しいと派閥争いには拍車がかかり、せっかく浪士組の結成が決まったのにちっとも話が進まない日々が続いていった



____

__

_




『…ん?』


早朝
道場で朝稽古をしていたAは入り口でひょっこり顔を覗かせている男の存在に気付いた

この時間に人が来るのは珍しい
朝早いこともあって殆どの者が寝ており、道場を独り占めできるこの時間に稽古することが最近のAの日課になっていた


『何か用?』

どうせまたAを気に入らない奴が文句を言いにきたのだろう

不機嫌に睨みながら訪ねるとびくりと男は肩を揺らした


「い、いや、えっと…すみませんでした!」

『…?』


いつも突っかかってくる男たちとは様子が違う
謝られるようなことに心当たりのないAは困惑した

とりあえず話を聞くべく、おどおどしている男と縁側に腰かける



『それで、さっきは何で謝ったりなんか…』


「お、俺…君の……君の剣捌きに、一目惚れして…」


『……は?』


「無駄のない動き、洗練された刀捌き…上手く言えないが、とにかく感動したんだ!だから、俺も君みたいになりたいって思って…稽古中勝手に盗み見して…」


すみませんでした!
と頭を下げた男をまじまじと見つめるA

暫く頭を下げていた男だが、何も反応を返さないAに恐る恐る顔をあげた


「え゛…」


Aはどん引きしてていた

眉を寄せ口元を引きつらせているAの肩を掴み、そんな顔せんでください〜!っと揺さぶってくる男にさらに引いた

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作者名:あまね | 作成日時:2019年2月4日 23時

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