【銀魂】Sleeping Princess (ページ50)

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第四十九訓ページ50

「あはは…土方さんに目立つ格好はやめろって言われて…」

それにしても変わりすぎだ、まるで別人
目立たない通り越して地味過ぎる
あの変な語尾もなくなってるし…

「ほら、モヒカンもやめて髪下ろしたんだけど締まり無さすぎて…左右の髪が生えるまでこの鬘(かつら)を…」

『ﾌﾞﾌｯ、何その頭』

そう言って鬘を取った山崎の頭は垂れ下がった茄子のヘタのようで思わず吹き出した

確かに締まりない

「そんなに笑わなくても…」

恥ずかしそうに鬘の位置を調整している山崎
笑いの収まったAはそういえば、と切り出す

『私に何か用があったんじゃないの？』

声を掛けてきた要件をまだ聞いてなかった

「あ、いや…ちょっと聞きたいことというか、気になることが…」

『…？』

怪訝な顔で見つめていれば山崎はポツリポツリと話始める

「柊さん、道場の師範代だったんだよね？以前野郎どもが話してるの聞いたんだけど」

『…そうだけど』

それがどうかしたのだろうか

「正直俺なんかよりずっと強いし剣術指南も上手いって聞くし、君が師範代だっていうことに疑問は持たないけど」

″何で門下生たちを連れてこなかったのかなって″

『……』

まあ、確かに至極当然の疑問ではある
ここは派閥で集まった者たちが多い、単身の者もいるが私のように道場を開いていたなら門下を引き連れているのが普通である

無言のままの私をどう思ったのか焦りながら謝る山崎を後目に淡々と答えを返した

『どんな話を聞いたか知らないけど、私が道場の師範代だったのは3年前の話。とっくに閉めた道場に門下生なんていないよ』

「そ、そう…」

山崎はそれっきり前を向き話さなくなった
ふといつもは五月蠅い奴が静かなことに気付き隣を盗み見る

隣を歩く立花は会話に入ってくることもなく、ただ前を見据えていた

『(そういえば…)』

立花は、単身で浪士組に志願したんだったっけ…
あの剣筋的に、大した道場に身を置いていた訳でもなさそうだし

『(立花は…どうして浪士組に来たんだろうか)』

「師匠…」

『な、何』

「今週のジャンプ…土曜発売なの忘れてました…」

『……』

盗み見ていたのがバレたのかと一瞬ドキリとしたがそれも杞憂だったようで…

『(馬鹿馬鹿しい…)』

こんな能天気な奴のことなんて考えるだけ無駄である

はァ…
溜め息一つこぼした時だった

Aは先頭にまで聞こえるように少し声を張った

『…っ、全員止まって』