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第三十五訓 ページ36

Aは休むことなく攻撃を繰り返し、沖田に粗を出させ続けた

無駄な動きは余計な力が入り疲れやすくなる


沖田はいつものように戦っているつもりで、
その実、いつもより無駄の多い動きになっていたのだ


そのために攻め続けていたAもかなり疲労していたが、踏ん張りどころ

沖田に疲れを見せず、余裕感を出す


″__フッ、ちょっと疲れがでてきたんじゃない?″

ただでさえ思わぬ疲労感に困惑している沖田はちょっとした挑発ですぐに心を乱した


さらに動きに粗が増えた沖田へ畳みかけ、Aは見事勝利したのだ


「チッ、俺だってお前の動きはもう見切った、次は負けねェ」

『私だって負けないよ』


立ち上がったAは拗ねたように寝転がる沖田へ右手を差し出した

眉間に皺を寄せじっと手を見つめる沖田だったが、渋々手を取り立ち上がる


「いやァ、いい勝負だった!な!皆もそう思うだろう?」

近藤が沖田の背中をバシッと叩きながら声をあげると、先程から盛り上がっている野次馬たちからも次々と称賛の声があがった


「いて、近藤さんやめてくだせェ」

「ハッ、まさかお前が負けるとはな」

「うるせェ土方、死にやがれ」

「何だとコラァ!?」




「師匠ー!」

立花が笑顔で駆け寄ってきた
その手にはAの笠が握られている


「師匠、お疲れ様です!これ、拾ってきました!早く被ってください!」


『ありがとう立花』


「素晴らしい試合でした!さっすが師匠です!」


興奮した様子でまくし立てる立花を軽くあしらいながら砂をはたき笠を被りなおす
20分程の試合だったか、だが今のところ身体に異常もないし問題ないだろう
気分も悪くない、むしろ久々の良い試合のおかげですこぶる絶好調だ

「そういや、ずっと被ってんなソレ」

Aと立花のやり取りを見ていた土方が不思議そうにしている


『あぁ、私これがないと死活問題だから』

自分の特殊な体質について軽く説明すると

「へェ、面倒な体質だな」

と何とも適当に終わらされた
聞いてきたくせに…



「つーか、柊」

『ん?』


「ん?じゃねーよ、お前、それが目上の人に対する態度か」


『何、急に…』


「これからここで生活していくなら、目上の者への態度は改めてもらうぞ、いくら強くてもな」


『…!』

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作者名:あまね | 作成日時:2019年2月4日 23時

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