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第三十訓 ページ31

「……」


『……』


「……え、それだけ?」


広場に居た者全員の心の内を代弁するように恐る恐る土方は口にしたが、Aはしれっとした顔をしている


「え?結構考え込んでたよな?あの時間は何だったんだ?いいの?その一言だけでいいの?もうちょっと何かあるだろうが」


『…?いや、今日の渡鬼録画予約してたか気になって思い出そうとしてただけなんだけど』


「何で今!?まだ時間あるだろうが!え、もしかしてそういう表情だったの?さっきの溜め息って予約出来てた安堵のため息!?よかったね!」


一息で言い切りゼェゼェと肩で息をする土方
とんでもないツッコみ魂を感じる


『放送時間を把握してるってことは…もしかしてそのクチ?』


「あァ、土方は生粋のワタラーだぜ」


『まじでか、渡鬼の面白さが分かるなんて…中々やるな』


「何で上からァ!?お前みたいなちんちくりんに渡鬼の良さが分かってたまるか!つーか、総悟てめェも渡鬼見てんだろうが、ワタラーだろうが!」


「いやいや、ご謙遜を。あんた程のワタラーは中々いないですぜ」


『へぇ、まさか身近にそんな凄いワタラーが潜んでいたなんてねぇ…』


広場は一気に微妙な空気に包みこまれた


「……つーか、ワタラーって何?」


「『知らね』」


「仲良しか!…って、脱線しすぎだ!話戻すぞ……あれ、何の話してたんだっけ」


「『さあ…?』」


何だかよく分からないコントを見かね、咳払いした近藤が割って入る


「ほ、ほら、Aちゃんの入る隊がなくて…って話だったじゃないか」


「あァ、そうだ。ここを出るつもりは無いようだが、何か理由でもあるのか?どうも俺はお前が浪士組でやっていけるとは思えない」


『理由があろうがなかろうが、松平公にも許可貰ってるんだし良いでしょ。あの人だって腐っても役人だ。ただの女子供がこんなところに入るのを良しとする訳ないでしょ』


周囲を伺ってみるが、納得言ってない表情のままだった
列の中にいた立花だけ、心配気な表情をしている


『別にあんたたちに認めてほしい訳でも守ってほしい訳でもない。自分の身は自分で守れる、それで死ぬならそこまでだ。私は剣と共に生き、剣と共に死ぬ…女子供が剣に生きて何が悪い』

以前立花にも同じことを話したか…


広場にいた者たちの表情は呆けたものに変わっていた
目の前の少女が冗談で言ったのではないことはかろうじて理解できる

いち早く我に返ったのは土方だった

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作者名:あまね | 作成日時:2019年2月4日 23時

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