【銀魂】Sleeping Princess

第二十五訓 ページ26

くだらない喧嘩をしていた頃の彼らには興味も持てなかったが、真剣に稽古する彼らなら別だ

素振りというのは単純な動きではあるが、故に色々と見えてくるものも多く中々面白い


例えばあの男

いかにも喧嘩ばかりしてきました、と言わんばかりの強面っぷりでしっかりしたガタイをしている

そんな彼の素振りは、見た目に似合わず繊細なものだ

一定の角度、速さで振り下ろされる木刀、軸がしっかりしており先程からちっともブレない足運び

振りが若干荒いのは気になるが、かなりの稽古をこなしてきたのは間違いない
動きが完全に体に染みついてるように見られる

それに比べてあっちの男

先程の男に比べて二回り程小さく、多少の筋肉はついているようだが至って平均的な体系の男
体力がないのか、長時間続く素振り稽古についていけていない

筋力もあまり足りていないようで、素振りする脇が十分締まっておらず軸もブレブレだ
しかし、足さばきは悪くない

上半身に見られる疲れとは違い、下半身にはそれが見られず安定している

もっと体力を付け、無駄な腕の力を抜くことが出来るようになれば彼はもっと伸びるだろう


やはり稽古の観察は楽しい


『(それにしても…)』

先頭の方にいる男たち
近藤の門下生たちだ

どの人もかなり完成された動きをしている

今までの屯所生活で彼らの素振りは何度か目にしていた筈だが、それも流し見程度のものだったため気づかなかった

正直ここまでとは思っていなかった

特に、最前列に並んでいるうちの二人
土方十四郎と沖田総悟
最近嫌でも彼らの噂が耳に入ってくる(主に立花経由で)

彼らはいつも近藤と行動し、近藤に絶対的な忠誠心を持っているようだ

しかし、別に付き従っている訳ではないのか、言い合ったり喧嘩しているところも目撃したことがある

比較的フリーダムな関係のようだ

先週の一件で見た彼らのパワーもだが、長時間の素振りにも一切乱れない動きにその集中力

文句のつけどころのない素振りだ
基礎が出来上がっている証拠である

是非ひとつ手合わせ願いたいものだ



＿よーし、皆！いつもより早いが、今日は終わりだ！

＿体調管理は基本だからな、皆しっかり休んでくれ！


近藤が叫び、その場は解散となった

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