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『−−−そうじゃなくて。付き合ってる訳じゃないのに、こんなに快斗君を独占して良いのかなって。彼女さんに申し訳ない、というか。』
「−−−彼女?」
はて、と眉間に皺を寄せる彼に首を傾げる。
『−−−快斗君の話しによく出てくる青子先輩。快斗君の彼女さんじゃないの?』
そう言えば、彼は口元を酷く歪めてブンブンと首を横に振った。
「−−−あいつは只の幼馴染だって。」
『............へぇ。』
その返事の感じだと全然信じてないだろー、と快斗君に睨まれたため、素直に頷く。幼馴染との焦れったい恋愛なんて素敵だねと伝えれば、快斗君に、ははーんと笑われた。
「もしかして嫉妬か?Aちゃんは友達じゃなく、俺の恋人になりたかったのかな?」
『−−−ん?』
「................。おい。ここは突っ込むか、笑い飛ばすかするところだぜ。」
『............あ、あー......そうだね、ある意味では嫉妬なのかな。好きな人と一緒にいられる快斗君が羨ましいのかも。』
「いや、だからねAちゃん。青子はそういう好きじゃなくて−−−」
『−−−だとしても、だよ。恋愛要素を抜きにしてもさ、快斗君にとって大事な人であることには変わりないでしょ?』
「...........まー。そうだな。」
『......でしょ。』
私は会いたくても、それを望んだところで叶わないからと呟けば、快斗君は大きく目を見開く。それって......と言葉を途切らせる快斗君に微笑めば、ホテル近くの楽器店の看板を指し示した。
『−−−少しだけ、寄っても良いかな。買いたい楽譜があるの。』
少しだけ弾んだ声でそう言えば、快斗君は気を取り直してくれたのか、勿論良いぜと言って笑ってくれた。
堂本記念公演のリハーサル当日。私と千秋は学校帰りに落ち合った後、会場へと向かった。ホールの入り口には既に少年探偵団の子供が集まっている。
「あ、Aお姉さんだ!こんにちは!」
『こんにちは、歩美ちゃん。みんなも。』
微笑み返せば、子供達の中で一番体格の良い彼が首を傾げている。
「−−−なぁ、この姉ちゃん誰だ?」
「元太君、知らないんですか?この方は青柳千秋さん。彼女もAさんと同じく日本を代表する高校生バイオリニストですよ!」
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