検索窓
今日:41 hit、昨日:3 hit、合計:110,309 hit

ページ31

<すみません。決して片手間にしていたわけではないのですが、僕も職業柄、同時進行で情報収集をすることも多くて。最近、米花町も物騒になってきましたからね。ネットを見ていて思ったのですが、随分と事件や事故が多いな、と。>


彼の言葉に、何故かどきりとした。彼は今日の爆発事故も知っているのだろうか。どう答えようか思案していた私を遮るように彼の言葉が重なり合っていく。



<実を言うと、なかには若い学生が巻き込まれることもあるようですから、Aさんは大丈夫かなと少し心配になったもので。>

『ーーあ、』


<ですが、すみません。勿論、いち学生である貴女には関係のない話です。要らぬお世話でしたね。>

『............。』


私に関係のない話しだったら、どんなに良かっただろうか。深い溜息をつくと、性格はいざ知らず、見た目や声だけは零さんに酷似した彼の困り顔を思い浮かべてしまった。


『ーー心配してくれて、ありがとうございます。』


初めて彼に会った時は本当に零さんかと思ったくらいだ。勿論、本物の零さんは爆弾処理なんて、おそらく出来ないだろうけれど。医師だし。って、あ.....。



『ーー安室さん、近日中に、家庭教師、お願いしたいのですが。』


<.......何か、解らない問題でも?>


大きく息を吸う。心は、今決めた。


『ーー爆弾処理の方法』


<...............。は?>


私の言葉がそれほど思いがけないものだったのだろうか。暫くの沈黙の後、彼には珍しい素っ頓狂な声が溢れた。


『ーーだから、爆弾処理の方法です。やり方を教えてください。』


<ーーーーーー駄目です。>

我に返った安室さんの返答は速かった。


<そもそも、爆弾なんてそうそう遭遇するものじゃないでしょう。君には無用の知識では?>

『ーー無用かどうかは、試してみないと分からないでしょう。』


<必要ありません。そんなことを勉強する暇があったら、少しでも多くの単語や公式を暗記した方が良いですよ。学生の本分はそっちだ。>


『言われなくてもしてます。それに、実際、貴方と出会ったのもその爆弾事件の最中だったじゃない!』


<だとしても。通報して避難する、それだけでも十分爆弾から回避できます。解体する必要はない。>

キッパリと安室さんは言った。

▼→←▼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
設定タグ:赤井秀一 , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:ミステリー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ナツメ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年12月9日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。