検索窓
今日:2 hit、昨日:11 hit、合計:201,812 hit

明暗のわかれ道【謎めいた乗客より】 ページ41

「スキー....ですか?」

『そう、それでね−−−』


丁度出かける間際になって、次回のコンサートのタイムテーブルや他の仕事候補を持ってきてくれた文和さんに会えば今日の予定を告げた。


「けれど、スキーなんてよく許可がでましたね。」


文和さんの口元に人差し指を当てて、声を潜ませる。叔母には言ってないのだ。今日もコンサートの準備をすると説明して行くつもりだったのだから。


『文和さん、バイオリン、預かってもらえる?』

その一言で察したらしい彼は大きな溜息をついた。本当は駅のコインロッカーに預けようかとも思ったのだけれど、できれば文和さんに預かってもらった方が安心だ。


「バレたら怒られますよ。」

『だからアリバイ作りをするんでしょ。』

「ーーーくれぐれも怪我だけはしないで下さいね。今後の仕事にも影響が出るかもしれませんし、何より彼女に隠し通すのは難しくなります。」


流石にそれは分かっている。頷くと、彼に感謝を述べた。


「ーーーーーそうだ。今日はついでにこれを渡そうと思ってたんです。」


文和さんに手渡されたのは白い無地の小さな紙袋。それを開けてみれば、学業成就のお守りが入っていた。


『−−−これ』

「マネージャーとして仕事を何より優先、と言いたい所ですが........言っても貴女はきかないでしょう。昨日も遅くまで勉強してたんですか?」

文和さんに目の下のクマを指摘されれば、苦笑を零す。正解だった。

「ーーーだったら、せめて貴女の応援を。一個人としてその努力が実ることを祈ってます。」

『ーーーありがとう、文和さん。』

私は早速お守りを手持ちの鞄につける。
これから待ち合わせ場所であるーーー米花一丁目のバス停まで車で送ってくれるとのことだったので、叔母に一声かけてから二人で家を出ることになった。

▼→←▼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
151人がお気に入り
設定タグ:赤井秀一 , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:ミステリー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ナツメ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年12月9日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。