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「Aお姉さん、今週の土日って空いてる?」
練習後に歩美ちゃんに袖を掴みとられた。阿笠さんに入れてもらったコーヒーカップをテーブルに置いて、文和さんとした打ち合わせを思い起こす。確か土曜は何もないけれど、日曜はバイオリンの個人レッスンとパンフレット用の写真撮影があったはずだ。
「俺達、土曜はスキーをして、日曜はサッカーの試合を観に行くんだぜ!」
『今の季節ってスキーできるの?』
「春スキーって聞いたことない?場所によっては5月くらいまでできる所もあるんだよ。」
コナン君の言葉にへぇ、と頷く。
哀ちゃんを含めた子供達5人と博士でバスに乗って移動するそうだ。
「Aさんも一緒に行きませんか?」
『そうだね.......日曜は用事があるからサッカーは観に行けないけれど、土曜だったら.....』
私は断りを入れて一度席を立つと、少し離れた所にいる阿笠さんや女性雑誌を眺めている哀ちゃんに声をかける。一応、私の同行について二人に許可をもらっておきたい。
「−−−どうして私に許可を求めるの?」
「こ、これ.....哀君。」
『私が参加することで、もし哀ちゃんが楽しめないようだったら嫌だな......と。ほら、私、音楽くらいしか取り柄がないじゃない?哀ちゃんが好きそうな話しができるかどうか.......いまいち自信なくて。』
「..........。馬鹿ね。そんなこと気にしないで貴女の好きにしたら良いんじゃないの。」
「−−−人数が多ければ多いほど楽しいしの。勿論ワシは大歓迎じゃよ。」
無事、二人に許可をもらえた私はホッと息をつく。
明日は秀一さんと久しぶりに会う約束があるため、次に彼女達に会うのはスキーに行く当日になりそうだ。スキー器具一式やウェアーは全て現地調達で良いか。きっとレンタルサービスくらいやっているはず。
『−−−そしたら、そろそろ私は帰ろうかな。』
土曜日当日は恐らくスキーで疲れて練習もそれほど長くはできないだろうから、今日中にレッスンの課題を復習した方が良いのかもしれない。
阿笠さんに待ち合わせのバス停の場所と時間を聞くと今日は早めにお暇することにした。
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