触れ合いと馴れ合い ページ9
―――――――…
そこには布団がすでに敷いてある。
「お、新八にしちゃー、気ィきくじゃねェーの。」
Aをそこに降ろすと、予想通り先程まで流れていた電気がおさまった。それを見計らってその隣に銀時も座る。
「おーい、Aちゃんよー………キミを育ててくれた父ちゃん母ちゃんは?一応、覚えてたりするわけ?」
フルフルとAは首をふる。
「……帰っとこは?」
一瞬迷ったようだが、Aはもう一度フルフル首をふった。
「……そんな年で家出かー?随分とマセてるじゃねーか。…まーとりあえず、今日はここで寝るとして、明日は税金どろぼー…あー…アイツらは管轄外か?んじゃー…同心…警察につれていくか。」
銀時がちらりとAを見ながら呟くと、彼女は不満そうな表情を見せる。
「…何だよ、その顔。お前警察嫌なの?」
『…ィャー。』
「でもなーお前、俺や新八が触れっと嫌なんだろ?あーも、毎回電気流されっと、ここには住めねェーぞ?」
銀時がガシガシ自分の頭をかいていると、突然Aがトタトタと歩いて抱きついてきた。それも電流なしで、だ。なんだやれば出来るじゃねーか、と銀時は口端を上げた。
「お前、嫌じゃなかったのか?もービリビリしてねェけど。」
一回Aをそっと離してから顔を覗きこむと、少し涙目の幼児が一生懸命にコクリコクリと頷いていた。あまりにも必死なその様子に、銀時は少し笑うとAに軽めの毛布を被せて立ち上がる。
「んじゃ、前向きに検討するとして…俺、ちょっと風呂入ってくっから、先に寝てろ。」
銀時は不安げに見あげてくるAの頭を撫でておやすみと囁くと、おやすみと小さく返されるたどたどしい言葉。銀時はそれを確認すると立ち上がって着替えを持った。
……はずだった。そこまでは良かった。だが、いざ風呂に向かおうとしていた銀時の足元に再びAが抱きついてきたのだった。さっき、おやすみしたじゃねーかと銀時は内心ツッコミながらも苦笑する。
「……おいおい、ちょっと風呂に行くだけだぜ?」
その瞬間、Aの握る手がグイっと強まる。つまりは行くな、ということ。
意図を読み取った銀時はため息をはくと、もはや癖である自身の頭をガシガシ掻く。
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