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――――…
辺りが一面甘い匂いで満たされる。目の前にあるのは、ホットプレート…それにホットケーキの材料の混合物。そして……なぜか可哀相な卵。…あれ?なんかコレおかしくね?どう考えても一つ仲間はずれのものが混ざっている。
「新八くん、新八くん、どうしよう。
僕目がおかしくなったみたい。」
「心配いりませんよ。僕にも見えます。」
僕と銀さんは無表情のまま席を立つ。
ガシッ
突然僕と銀さんの腕が掴まった。
「新ちゃん…銀さんも、いったいどこに行くの?」
にこにこした笑顔を浮かべる姉上。
マズイこの展開は非常にマズイ。
「アネゴー!早く焼こうヨ!!Aも食べたそうネ。」
「あらあら、そうね。Aちゃん、今焼くからちょっと待っててね。」
…神楽ちゃんのおかげでなんとか助かった。
(…銀さんどうします?これじゃあ、姉上に質問できませんよ!)
(まー…ホットケーキ焼いてる間にでもチャンスはあンだろ。新八、とりあえずフライ返しを手に入れるぞ!!)
僕と銀さんはソファーの後ろでコソコソ話しあうと、まるで勇者のように堂々とソファーに座った。
神楽ちゃんがおたまで混合物を掬い、姉上がにこにこ笑顔でフライ返しを持っている。
(銀さん、なんか姉上ノリノリなんですけど!これじゃあ、僕たちどころかAちゃんもあの卵を食べる羽目になっちゃいますよ!)
(大丈夫だ!神楽がいくら下手だろうが、ミックスをプレートにいれるだけでは失敗はない!とりあえずフライ返しだ!フライ返しさえこちらにわたれば…)
「アネゴ、もうやっていいアルか?」
「そうね、プレートも温まったみたい。
あ、Aちゃんは火傷すると危ないから私の膝の上に乗りなさい。」
そう言って姉上はAちゃんを膝の上に乗せた。…チャンス!
「あ、姉上…その状態ではホットケーキを裏返すのは危ないですから…僕がやります。」
「あら、そう?じゃあ、新ちゃんお願いね。」
そうして、僕が受け取ったのは―――フライ返し…ではなく、キョトンとした顔のAちゃん。
ってなんでだァァァァァアアア!!!
新八の任務――失敗
「アネゴ、すごいネ!奴ら、でっかい穴がボツボツでてきたヨ。まるで脂ギッシュな男子中学生アル。」
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