きっとこうなる予感していた ページ25
『♪』
Aはとにかくご機嫌だった。三十センチぐらいの真新しい木刀を腰に下げては終始ニコニコしてやがる。女子供がそンなもんで嬉しがるつーのがオレには理解できなかった。
クイクイ
「土方さん………アレ。」
オレが訝しげにAを見ていると、総悟がオレの袖を掴みながら先方を指差し、そのまま進行方向に目をむけた。
《きっとアイツは甘味処でパフェ食ってると思うんだよね。うん、絶対そこにいる。いなかったとしても、オレがそれ食べれば見つかる気がするもん。》
《いーや、きっと駄菓子屋で酢昆布しゃぶってるネ。もしいなかったとしても、私が―――》
《それ、アンタらが食いたいだけだろ!!…アノ子はたぶんお通ちゃんのライブに行ってるンですよ。もしいなかったとしても、僕が――》
《《ンなわけねェだろ、ダメガネ》》
《ちょっとォォ!!アンタらに言われたくないんですけどォォ!!》
前方からは万事屋の連中らがギャーギャー喚きながら、こちらにむかってきていた。…今日は厄日か?そう思うとため息をはかざるをえなかった。
《パフェ!》
《酢昆布ヨ!》
《お通ちゃん!》
いつになくうるせェ連中だな、オイ。何か?あいつらは常に口を開いてないと死んじゃうよー…的な呪いにでもかかってんのか?
「オイ、総悟。早く帰っぞ!アイツらと関わるとロクなことねェ――」
オレの気持ちを余所に、すでにアイツはオレから約十メートルほど離れた万事屋と合流していた。
《旦那じゃねぇか。これまた奇遇ですねィ。揃ってお出かけたァ仲の良いことでさァ。実は俺も土方さんと買い物に来ててねィ。》
総悟がオレを指さしたことで、万事屋たちが一斉にこちらにむく。銀髪と一瞬目が合うが、すぐに奴は総悟の方にむきなおった。わざとらしく、奴は額に手をかざしてキョロキョロ辺りを見回してやがる。
《え、何。多串くんも来てンの?オレには全然見えないンですけど。》
あの野郎、さっきばっちり目ェ合ったじゃねェか。わざとだろ。絶対ェわざとだ。
《アアアァァアアア!!》
いきなりメガネがオレの足元を指さしながら叫んだ。
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