居場所 ページ17
「おい小娘！何をしている！」
国木田が叫んだ方向にはAが窓に足を掛けていた
「敦君も入社が決まりましたので私はこれで」
「君も入社試験に合格したのだよ？」
「私にはこの様な人を救う 光の当たる場所なんて不相応です でも…」
Aは微笑み
ー皆さんが無事で良かったー
そう云いAは探偵社の窓から飛び降りた
「『聖女の救済 "重力"』」
するとAはまるで重力が消えたかの様に軽やかに着地しその後走って消えてしまった
「国木田君 彼女は私に任せ給え」
「おい！太宰！」
そう云うと太宰は探偵社から出て行った
Aは街を歩き路地裏に入った
そろそろ大丈夫かな…
そう云いAはもう一度異能力を使った
するとAの身体は崩れ落ちた
「やっぱり下手に使うものじゃないな…」
「大丈夫かい？」
すると背後から男性の声が聞こえた
「大丈夫です お気遣いなく」
微笑み返そうとしたAは困惑した表情を浮かべた
「何で…」
男性 いや太宰がAに近寄り触れた
すると太宰の人間失格が発動されAの身体は軽くなった
「君の異能力はどんなものなんだい？」
「…私の異能力『聖女の救済』は触れた相手のモノを奪う事が出来る能力です 奪えるモノに例外はありません ですがこの能力は奪うだけでは無く奪ったモノを返す際 奪ったモノの力が増大し返されてしまう能力です」
「君は探偵社から出る際 自分の重力を奪い立ち去った が今その重力が倍になって返ってきていたから崩れ落ちていた…と云う事だね？」
「御見事ですね…」
ーさすがは太宰さん いえ…ー
太宰は驚愕した
「…何故君がそれを？」
「…ずっと ずっと貴方を探していました "彼の人"から貴方の事を聞いていましたから 貴方の事をとても心配していました ですが」
大丈夫みたいです だから安心してくださいね
ニコリと微笑むA
「……君は若しかして」
「これで私はもう安心です」
そう云い立ち去ろうとするA
「待ち給え」
太宰はAの手を掴む
「君が何者であろうともう君は探偵社の一員だ このまま立ち去るなんてさせないよ」
「でも私は…」
「君がどんな人であろうと どんな過去があろうと 君が命を救おうとした この事実は変わらない だから」
ーおいで Aちゃんー
太宰はAに微笑んだ
私は 私はもう一度居場所をつくってもいいの？
ー行ってこい Aー
"彼の人"がそんな風に云った気がした
Aは太宰の手を取った
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作者名：aurora | 作成日時：2019年3月10日 22時
