【文スト】salvation of a saint Ⅱ (ページ20)

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眸二実レリ怒リノ葡萄ページ20

Aは走っていたが

これじゃ間に合わない…

『聖女の救済"重力"』

Aは異能力を使い身体を浮かび上がらせる

「これで行くしかない…！」

Aはナオミと春野のいるロッジへと向かった

一方ナオミと春野は旅館の仲居の車で逃走していた

がジョンの異能力『怒りの葡萄』により捕らえられていた

「何！？」

「何かが車体に……！」

ナオミがドアを叩くが

「ドアが開きません！」

「木の根！？」

車は木の根に絡められていた

「此の儘じゃ押し潰されますわ！」

車が凹み始めたが途中でピタと止んだ

「……止まった？」

「申し訳ないねお嬢さん方」

「まさか裏をかかれるとはさすが探偵社は隅々まで人員が行き届いてるね」

ナオミがジョンを睨む

「君達は葡萄の育て方を知ってる？葡萄の枝は他の植物と活着する力が強いだから接ぎ木して育てるのさこんな風に」

ジョンがそう云うと木の根が肥大化しさらに絡まる

「僕の"葡萄の樹と身体を融合させる"能力は範囲も力も小さいけど他の植物とこうして融合していけば土地一帯の植物を身体の延長として使える地中の根で振動を検知して逃げる誰かさんを見つけるのも簡単って訳そう怖い顔しないでよ少し頼みがあるだけさ」

ジョンが笑顔を浮かべる

「……「頼み」？悪党にとって「頼む」は「利用して奪い使い捨てる」の類義ですわ」

「「悪」？参ったなどうも誤解があるみたいだ組合は悪の組織じゃないよもちろん僕も故郷に君くらいの歳の妹がいるんだ大家族でね夕食は戦争さ妹はパイが大好物でいつも僕の分まで食べるでも可愛くてつい許しちゃうんだな」

「……だったら私達を逃して」

バキィ

車体を潰れる

悲鳴をあげるナオミと春野

「勘違いさせたなら済まないね組合の任務は過酷だが払いが良いんだ解任されたら故郷の家族が飢える分かるかい？妹の為なら君がどうなろうと知った事じゃない」

「もう止めてぇっ！」

春野が叫ぶ

「『聖女の救済 "重力"』」

「この声…」

ナオミが外を見ると

「お待たせしましたナオミ」

ニコリと微笑むAの姿

「Aさん…っ！」

「驚いたな君が"norn(救いの女神)"か」

「私の名は東野Aです」

「君も捕らえるように指示はされていた手間が省けたね」

二人だけでも必ず逃す

Aが戦闘態勢に入る

「(マフィアは時間を計算していた……なら必ず探偵社の救助が間に合うよう調節した筈！御願い……間に合って！兄様……！)」