闇の使者デビモン…9 ページ36
みんなが寝静まった頃、Aはこの洋館の気持ちの悪さに眠れず…バスローブから元の服へと着替え、起こさないように寝室から出た。
A「……」
溜息を吐くと寝室の扉が開き、起こしたかと思い振り向くとトイレで起きた太一とアグモンだった。
アグモン「あれ、Aだ」
A「太一、アグモン…どうしたの？こんな時間に」
太一「トイレに行きたいんだってさ。アグモンが」
A「…そう」
元気のないAに気づいた太一はアグモンを先にトイレに行かせた。
太一「眠れないのか？」
A「少し…」
太一「昨日から空が心配してたぞ？少しでも寝なきゃ体が持たねぇって」
A「太一って他のみんなより空と1番仲がいいよね？なんで？」
Aはずっと気がかりだった疑問を太一にぶつける。
太一「仲がいい…か。恥ずかしくてみんなには言えないんだけどさ、実は俺…空のことが好きなんだ」
A「すき…？他のみんなに対する″すき″と違うの？」
太一「あぁ。空といるとドキドキしたり、時々、胸が苦しくなるんだ…一緒にいたい、なにかあったら助けたい…1番大切にしたい、そういう″好き″って気持ちなんだ」
A「…」
太一が空の話をする時、見たことのないくらい優しい顔をしており…それは、Aには決して見せることのない表情。
そんな表情にできるのは空なのだと知り、Aの胸がドクンと痛む。
A「そうなんだ…太一にとって空は大切な人なんだね」
先頭を走る太一と後押しする空…きっと2人の幸せを応援する事が自分のしてあげられる事なのだと心の底から思った。
A「応援してるね」
太一「ありがとう」
太一はアグモンの後を追いかけに行き、Aは痛む胸と知らない感情に戸惑っていた。
A(正しいことを言ったはずなのに…どうして苦しいのかな？)
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作者名：勿忘草
| 作成日時：2021年1月12日 16時
