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「おやすみなさいって今日メッセージ送ります」
「うん、待ってる」
「ちゃんと返事してくださいね」
「もちろん」
そう言って二人でくすくすと笑っていたらさっきまで変に緊張してしまっていたのが馬鹿らしくなってしまった。
先輩の腕が私の頭の方に伸びてきてそのまま何回か撫でられる。それはゆっくりと下の方におりてきて、頬に添えられたとき、目を合わせるように少しだけ顔をあげられる。
あの日、バイト先まで送ってくれた時の光景と似ていて。今度は途中で手を離されることもなくゆっくりと近づいてきてそっと口づけたのだった。
「……好きだよ」
「私も、せんぱいのこと好きです」
「……その先輩ってやめない?」
「えっ……」
「オッパって、呼んで?」
突然そんなことを言い出す先輩に思わず変な声が出てしまった。
その後「ちょっと言ってみて」なんて言うものだから恥ずかしかったけど、綺麗な目にじっと見つめられてしまえば断ることなんてできなくて。
「……ミノ、オッパ……」
「ん、なんか聞こえなかった」
「ちょっと……!いじわる、聞こえてましたよね」
「うん、ごめん、いじわるした」
ふは、と笑い出して頭をぽんぽんと数回撫でられるからなんだか負けた気分でこうなったら、と私も意を決して口を開く。
「オッパのこと、すごくすき」
「……っ、あーもう……ほんと……」
私のことをぎゅうっと抱き寄せて首元に顔を埋める先輩に私もぎゅっと抱きつくと、背中に回った腕が少し強くなった気がした。
なんだかたまらなくなって「すきです、すき」なんて小さな声で言ったのにそれすらも先輩の耳に拾われてしまってはぁ、なんて大きなため息をつかれてしまった。
「あんまりかわいいこと、しないで」
「いやです」
「この……」
「わ、ちょっと、やだぁ……」
私の頬をむぎゅ、とつまんで動かしてくるから力なく抵抗するつもりでお腹を叩いたけど意味がなくて。
そのまま最後にもう一度だけキスをして離れたのだった。
「ゆっくり休んでね」
「せんぱいも……」
「ん……?」
「……オッパ、も」
「うん」
私が先輩のことをオッパと呼べばにっこり笑うからこれは少し面倒なことになってしまったかもしれない、とは思うけどそんな笑った顔が好きでまあいいや、なんて思ったのだった。
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にな - おもしろすぎますっ!!!まだIIを読んでないので、めちゃくちゃ楽しみです笑 (9月18日 9時) (レス) id: b40d645773 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - 二酸化酸素さん» 正しいのは「酒は飲んでも呑まれるな」で合ってますが、それをもじってこのタイトルにしました。あとがきで説明しようと思っていたので記載していませんでした。わざわざコメントさせてしまってすみません🙏 (2023年4月9日 12時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - 酒は飲んでも呑まれるなじゃないんですか?酔われるなって日本語変じゃない? (2023年4月8日 23時) (レス) id: f1b4473fe3 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆるさん» ありがとうございます!頑張ります🫶🏻 (2023年3月2日 23時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - すごく面白かったです💞続き楽しみにしてます!! (2023年3月1日 16時) (レス) id: 1458c0c6cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2022年11月25日 17時