１４９話 ページ8
謎の浮遊感が落ち着くと、私は瞼を上げる。
「っ………」
視界一杯に眩い光が入り、思わず目をそらす。ゆっくりと体を起こし、辺りを見回す。
「具合はどうかな、Aくん」
ドアが開き、ラベンダーの小さい花束を持った鶴見中尉が現れた。
「あっ……え、その」
一般人である私が網走監獄で見つかったって、確実にマズイ。私が一般人じゃないって思われるやつ。
(と言うか鶴見中尉が私の名前を聞いたのって私が土方さんたちに関わりのある人間って知っていたからなんじゃあ……)
憶測が頭の中を駆け巡り、額から冷や汗が流れる。
「今からいくつか質問をするので、それに答えてほしい。それと、我々は君をどうこうするつもりは無い」
「そうなんですか……」
よかった、逮捕されるなんて絶対に嫌だ。
「もっとも、Aくんの回答によるがな」
にこりと薄く口角をあげて微笑む鶴見中尉。美しく、後光すら見えてくるが、
(瞳の奥から、なんか暗いモノが見える……)
嘘をつくと即バレそうだし、通じるとも思えない。ゴクリと唾を飲み込み、できるだけ自然に表情を和らげる。
「御手柔らかに、お願いします」
その後、私が受けたのは質問と言うよりも確認だった。私の出生から小樽へ移り住むまで。神様から説明を受けなければ私も分かっていなかった部分がかなりあった。
「短時間でよくそんなに調べられましたね……私の出自、結構複雑なんですけど」
さすが情報将校と言うべきなのか。細かすぎて途中で引いた。
「Aくんの事は初めて会った時から気になっていたのでな。前々から少しずつ調べていたんだ」
(やっぱり疑われてたのか！！)
甘味屋じゃあ全然そんなそぶり無かったのに!？
「実はもう１つ、Aくんに用事があるんだ」
鶴見中尉は手を組み、体勢を少し前屈みにする。
「質問以外にですか？」
「ああ。しかし、これは『第七師団』からの提案ではなく、『私』がAくんに頼みたいことだ」
鶴見中尉が私に頼みたいこととは、一体どんなことなんだ。緊張感が漂い、私は鶴見中尉に注目する。
「私をAくんの後見人にさせてほしい」
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華洛 - いちにちでよみきってしまいました！すごく面白かったです！更新待ち続けます！ (2022年5月19日 23時) (
レス) @page34 id: 9cd2997260 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 更新待ってマス！！ (2022年3月24日 22時) (レス) @page34 id: df15541a66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し95348号(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！更新待っています！！！！ (2020年9月22日 7時) (レス) id: ca8cd08e4b (このIDを非表示/違反報告)
マリンバ - めっちゃ好きです！(唐突)大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (2020年3月19日 15時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
境 - このお話好きになってしまいました！！！！更新頑張って下さい！！応援してます！！！！！！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海豹 | 作成日時：2019年2月17日 1時
