１５８話 杉元Side ページ17
Aがいる病室の前に立つ。何度も入ることを躊躇したが、意を決して扉を開ける。
(寝てる……のか？)
掛け布団の上に仰向けで倒れているA。心なしか顔色がよくないようにも見える。
(直しておくか)
起こさないようにAを支え、ゆっくりと掛け布団をかける。
近くにあった椅子に座り、改めてAを見る。
(作り物みたいな奴だな)
日本人離れした白い肌、艶やかな黒髪、若葉のように淡い緑かと思えば夜の湖のように深い青の瞳。まるで、美しいモノを集めて完成した人形。
(アシリパさんとそう歳は変わらないと思う。けど……何でだろう、時々こいつが俺よりも年上に見える)
Aの頭を優しく撫でる。
(まあ、こんなアホ面しながら寝てる奴が、俺よりも年上なはずないか)
その後もAの頭を撫でながら、Aが起きるのを待った。
Aと目が合い、今までしていたことが急に恥ずかしくなる。
「……笑ってんじゃねえよ」
「ごめんて。面白いから、つい」
体調のことを聞くと、軽い貧血があるらしい、と笑顔で曖昧な答えが返ってきた。
「そう言えば、後見人ってなんだ？」
「お前もか」
Aは一度面倒くさそうな顔をすると、詳しく意味を説明した。
(アシリパさんに会う為に、Aは樺太に行くのか)
ズキッ
「……？」
突然、胸の奥が痛くなった。
「……もしかしたらアシリパちゃん、私が網走で殺されたと思い込んでるかもしれないし」
のっぺら坊とアシリパさんが双眼鏡越しに会ったのだから、確かにそう思っているかもしれない。
「それなら俺も……」
「いや、それは無いんじゃない？」
Aは呆れた声色で言う。
「だって、きみは『不死身』なんでしょ？一番近くにいた相棒(アシリパちゃん)がそれを信じないわけ無いじゃん」
一番アシリパさんに信頼されている奴が、何を言っているんだ？
「それでも不安なら、必ずアシリパちゃんに会えばいい。その為の先遣隊なんだから」
Aの拳が、弱々しく体に当たる。
「……な？」
(なんで、そんな苦しそうな顔なんだよ……)
遠慮のような、嫉妬のような、暗い感情を押し込めた笑顔。見るに耐えない、しかしどう対処していいかも分からず、引っ込めようとしたAの手首を掴む。
「親友なんだろ？会いに行くんだろ？だったらそんな顔したんじゃねえよ！」
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華洛 - いちにちでよみきってしまいました！すごく面白かったです！更新待ち続けます！ (2022年5月19日 23時) (
レス) @page34 id: 9cd2997260 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 更新待ってマス！！ (2022年3月24日 22時) (レス) @page34 id: df15541a66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し95348号(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！更新待っています！！！！ (2020年9月22日 7時) (レス) id: ca8cd08e4b (このIDを非表示/違反報告)
マリンバ - めっちゃ好きです！(唐突)大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (2020年3月19日 15時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
境 - このお話好きになってしまいました！！！！更新頑張って下さい！！応援してます！！！！！！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海豹 | 作成日時：2019年2月17日 1時
