１５７話 ページ16
目を開けずに頭が覚める。自分でも意味不明なそのわけは……
(何かに頭触られてる!？)
何げに金縛りよりも怖いんだけど。
(え……何？私今、何かに頭撫でられてる？)
恐る恐るゆっくりと目を開く。
(杉元……!？なんで？)
しかも何故か楽しそうなんだが。しかし私も目が覚めてしまったからには起きたい。
「あの……起きても？」
目を合わせず、むしろ伏し目がちに聞いてみる。
「え……うわ！？」
私と目が合うと、杉元は椅子から落ちそうになるほど慌てる。
「そ、そんなに慌てなくても……っ」
その様子がなんとも言えず滑稽で、私は声を殺しながらお腹を抱えた。
「……笑ってんじゃねえよ」
「ごめんて。面白いから、つい」
杉元は額に手を当てると、顔を伏せながらため息を吐いた。
「具合は？もう大丈夫なのか？」
「うん、大丈夫だと思う」
軽い貧血はあるらしいけど、と付け足し、私はニカッと笑った。
「そうか。無理するなよ」
「そう言えば、後見人ってなんだ？」
「お前もか」
家永さんに言ったように、杉元にも説明する。
「鶴見中尉と利害が一致したから、形としての後見人っていうってことか？」
「だいたいそんな感じ」
理解が早くて助かるわぁ。
「樺太へアシリパちゃんに会いに行く。もしかしたらアシリパちゃん、私が網走で殺されたと思い込んでるかもしれないし」
杉元とのっぺら坊が撃たれた瞬間を見たのなら、私が撃たれた瞬間も見たはず。
「それなら俺も……」
「いや、それは無いんじゃない？」
「だって、きみは『不死身』なんでしょ？一番近くにいた相棒(アシリパちゃん)がそれを信じないわけ無いじゃん」
私が一番欲しかった立ち位置に、杉元はいる。
「それでも不安なら、必ずアシリパちゃんに会えばいい。その為の先遣隊なんだから」
拳をつくり、弱い力で杉元に当てる。
「……な？」
自分でも分かるくらい、今の私は上手く笑えていない。胸の奥が苦しくなり、杉元に当てた拳を離す。しかし、
「親友なんだろ？会いに行くんだろ？だったらそんな顔してんじゃねぇよ！」
強い力で握られた手首は、小さく震えていた。
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華洛 - いちにちでよみきってしまいました！すごく面白かったです！更新待ち続けます！ (2022年5月19日 23時) (
レス) @page34 id: 9cd2997260 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 更新待ってマス！！ (2022年3月24日 22時) (レス) @page34 id: df15541a66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し95348号(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！更新待っています！！！！ (2020年9月22日 7時) (レス) id: ca8cd08e4b (このIDを非表示/違反報告)
マリンバ - めっちゃ好きです！(唐突)大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (2020年3月19日 15時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
境 - このお話好きになってしまいました！！！！更新頑張って下さい！！応援してます！！！！！！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海豹 | 作成日時：2019年2月17日 1時
