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プロローグ【九尾の少女】 ページ1

心地良い風が頬に当り目を覚ます

一番に視界に入ったのは木々の隙間から見える青い空

鳥のさえずり、ほのかに風に乗って花の香りがした

ゆるりと手を上げては視界に入れる

その手で己の頬を撫でる

身体を起こし、少しぱちぱちと目を閉じたり開けたりする

改めて周りを見渡すが、森の奥深くなのか人間の姿はなく、気配すらない

己の背後には大きな樹木、目の前には太陽の光に照らされてキラキラと光る泉


はて、ここはどこだ?


首を傾げては改めて状況を把握する

記憶が曖昧な部分がある

拉致?いや、それならばこんな所にいないだろうし、ましてや拉致した犯人が居ないのが可笑しい

そして一番気になるのは頭部と背中にある違和感

ふらりと立ち上がり、いつもより少し重い身体

泉に近づき覗き込む

さらりと長いエメラルドグリーンの髪が頬にかかった


「…これは」


澄んだ泉は鏡のように己の姿をしっかりと映し出す

長く美しく絹のようなさらさらなエメラルドグリーンの髪に少し眠そうなコバルトブルーの瞳

そして、頭部にある2つの長めな獣耳、腰から生える九本の尾がゆらゆらと揺れていた

この姿には見覚えがある


「…凪」


その名前を呟いた瞬間、バチッと静電気が走るように断片的に記憶が見えた

白い空間にあるベッド

そこに横たわるコードを繋がれた己の姿

そして知らない男の人


『□□□□、▲▲▲…?□□□□!』


なにか話してる?

思い出せない。思い出したくない

小さく息を吐き、心を落ち着かせた


退屈していた日々

不思議と不安より口が緩む

ここはどこでしょう

ここは退屈しないでしょうか

そんな考えに溢れ

小さく笑みをこぼす


「あらあら…うふふ♪」


今日、私(わたくし)は凪になった

愛する理想の人に

いや、人でもないか

愛する理想の九尾に


これは突然、異世界に飛ばされた

凪という九尾になった少女の物語


「私を楽しませてくださいね…?」

第1話【少女の名は"凪"】→



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作者名:神威空 | 作成日時:2021年5月6日 22時

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