ファーストキス【センラ】

ご ページ6

『わ…私の、ファーストキス……』


ずどん、と肩を落としてベッドに座り込む。
唇をさわさわと撫でると、またあの生ぬるい感覚が蘇ってきて。ああ駄目だ泣きたくなってきた。



(ファーストキスぐらい、好きな人にあげたかった…なんて、)


…笑われるかな。
でも、少なくとも普通以上の人がよかった。何でよりによって折原センラな訳…？



『ううっ……うらたせんぱぁい…』


ぽふ、と手近にあったクッションに顔を埋める。

……私の、初恋の人。私の、大好きな人。
浦田先輩の優しい微笑みを思い出して、また涙腺が緩んできた。





ピコン♪


突如、着信音がなり響く。
ビクッと肩を震わせて通知画面を開くと、





[折原センラ:やっほーAちゃんやんな？]





『、なんでっ…！？』


私、クラスの人とLINE交換してないのに…！！
となると、折原くんは誰から貰ったのだろう。………いやそれとも、



(……やめよう。とりあえずブロックだ)


ブロックボタンを押し、同時にまた涙が溢れてくる。
いくらなんでも「好き」が行きすぎている。こっちは嬉しくもないし、ていうかむしろ怖いからやめていただきたい。



(…………もう駄目だ。寝よう)





* * *



「あれっ………返信来うへんなぁ」


どうせAちゃんのことやからブロックしたんやろう、と薄笑いを浮かべる。

そんなことしたって無駄だ。ブロックされたなら、別のアカウントで連絡すればいいだけ。




(…ふ、怖がってるかなぁ)


Aちゃんの、怯えた表情。想像するだけでゾクゾクする。
盗撮機とか付けれたらええのに、という考えは、あながち冗談ではないかもしれない。


・

ろく→←よん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す