すいーと・すいーと・まいほーむ【あほの坂田】

じゅういち ページ12

『ただいまぁ…』

夜中12時を回って、やっと家に帰れた。

眠いし疲れるし…おまけに、

『坂田先輩まだじゃん…』

いつものパタパタという足音も、「おかえり！」という可愛らしい声も聞こえてこない。まさかまだ飲みに行ってるとか…？

(まあでも言うて3時間か…朝までには帰ってきてほしいところだけど、)

しかしLINEを開いても、未読の通知は変わらず0件。

浦田さんに迷惑掛けてなかったらいいけど…酔っぱらったら何言いだすか分かんないしなあ…心配だ。

ほう、と小さなため息を付きながら、冷蔵庫に買いだめしておいたプリンを頬張る。

ふうわりと広がる優しい甘さは、坂田先輩からのキスの味に似ていた。

＿＿＿それよりも、問題は誕生日プレゼント。

良いお店は見つけたものの、買いに行く日がない。

更に、そうこうしている間に残り10日になってしまった。…もう休み取るしかないかなぁ…院長に相談しよう。

(あ、でも…もし気に入ってくれなかった場合…)

ううう…だめだ。恥ずかしいことに、彼女なのにカレシの好みも知らないなんて…

やっぱ夏目先輩の方が…なんて思いがこみ上げてきて、ぶるるっと大きく頭を振った。

(だ、大丈夫大丈夫っ！！坂田先輩なら何でも喜ぶ…はず！！)

ピーンポーン♪

『あ、帰ってきてた』

小さく声を上げながら玄関へとかけていく。

＿＿＿この時、気づくべきだったんだ。

何で坂田先輩がLINEをしてきてないのか、鍵を持っている筈なのにインターホンを押したのか。

そして、ドアの向こうが本当に先輩なのか…

『坂田先輩、』

「………え、、お姉さん、？」

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