世界はとまる6 (ページ1)

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ーーリターンsideーー

エリがまた脱走した

敵達は「若に＂バラされる＂！」と騒いでいた

リ「エリちゃん…」

少女の部屋を片付けながら、彼女がここから逃げ出せれる事を密かに祈っていた

エリちゃんは私が連れて来られる随分前からここに居た女の子

ここに連れて来られてからは＂実験＂という名で、繰り返し身体の分解・修復をされている

これは精神的にとてもキツイ

エリちゃんが1人でこれに耐えてたと思うと胸が張り裂けそうだった

私はヒーローだ

この子を守らなければ、安心できる人間でいなければならない

そう思い、リターンは常時笑っていた

そのお陰でエリちゃんは少しずつ心を開いてくれるようになった

きっと、今頃スローが動いてくれてるはず…
必ずエリちゃんを助け出さないと！

リターンは落ちかけた気分を軽く頬を叩き、気合いを入れ直した

時刻は夜になり、部屋の外から声がした

どうか…

エリの姿が無い事を願いながら扉が開くのを待つ

ガチャッ

リ「…！…エリちゃん…」

エ「………。」

背中を押され入ってきたエリちゃんは元気がなかった

「ガキを寝かせとけ」

見張り役の男はそれだけ言って扉を閉め出て行った

その瞬間リターンはエリを抱きしめる

リ「…戻ってきちゃったのね」

エ「…！……ママ…、ごめん、なさい」

リ「ううん。エリちゃんが謝る事じゃ無いのよ…………？？」

笑顔で話すリターンの語尾は疑問に変わる

もう一度エリを抱きしめた

鼻をくすぐる馴染みのある香り

リ「…エリちゃん、お外で誰かに会った？」

その問いにエリは大きく頷いた

エ「ママに似てた」

リ「…ッ……赤い目をしてた？」

エリはもう一度頷く

エ「…必ず、助けるって……」

リ「そう…」

その言葉にリターンは嬉しさ半分、不安半分の気持ちが生まれた

また巻き込んでしまったわ…
無茶しなければ良いのだけれど……

リターンは小さく溜息を吐く

エ「……ママ、元気出して？」

リ「…！…ありがとうエリちゃん」

エリをぎゅっと抱きしめる

リ「ママはね、エリちゃんが居るから元気で居られるのよ」

エ「…？？」

リ「1人だったら挫けちゃいそうだもの。エリちゃんが居てくれるから、強くなれるの」

リターンはエリにAを重ね合わせた

子供が…Aが居たから、強くなれた

エリの頭を優しく撫でる

帰ったら、伝えないと…！

リターンは心に強く決めたのだった

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