足駄をはいて首ったけ【SVT】短編 (ページ15)

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SC-1 ページ15

「もうやめて…誤解だから…」

"じゃあやめるよ"

ﾄﾞｽｯ

「う…」

コンビニでも行こうと夜中に外に出ると

とんでもないものに遭遇してしまった

『マジかよ…』

思い切りお腹を殴られた彼女は苦しそうにうずくまって

男は平気な顔して腕を引っ張り彼女の身体を引きずろうとしている

『彼女痛そうなんでやめてあげてください』

関わらないのが1番なのに、その姿を見ているのが辛くて声を掛けると

"あ？うっせーな！テメェに関係ねぇだろ？"

刺されでもするんじゃないか？って位の視線を浴びて

思わず後退りしそうになる

『警察呼びますよ？とにかくその手離して下さい！』

恐怖をカモフラージュするように言えば

男は彼女を突き飛ばして車で消えてしまった

『大丈夫ですか？立てますか？』

「大丈夫…です…ありがとうございました」

力ないまま立とうとする彼女の腕を支えてあげると

口元は血が滲んでいた

『病院行きましょう』

「大丈夫ですから」

俺の手を振り払ってフラフラで歩こうとするけど

まともに歩ける訳がないほどのダメージを受けている彼女を放っておける訳なく

『家近い？』

「いや、本当大丈夫なんで」

『仕方ないな…ごめんね』

そう言って無理に彼女を抱え上げて

タクシーで弟の家に向かった

『俺の弟の部屋だから安心して』

「いや、あの…私…」

『手当てだけさせてよ』

そう言って部屋にはいるとソファーに座らせた

買ってきた薬を出して顔を見た瞬間

今まで薄暗くてはっきり見えてなかった顔が見えて固まってしまった

『あの…前に…サイン会とか…』

「…はい」

間違いない…最近は来てなかったけど

ずっと来てくれてた…ヌナだ

『あ、俺ごめんなさい！タメ口きいちゃって』

「気にしてないから…私こそこんな姿…」

『何言ってるんですか！とにかく薬塗りましょう！滲みるかもだけど、我慢してくださいね』

そう言って綿棒で唇に薬を塗りながら

色んな感情が渦巻いていた

自分たちのペンがこんな事されてるなんて

ていうかなんであんなクズと…

彼女はなんで別れないのか…

きっとこれが初めてじゃないよな…

少し落ち着いた彼女に飲み物を渡すと

「本当ごめんなさい…スンチョルくんに迷惑かけてしまって」

『何言ってるんですか！迷惑なんて』

ツラいはずなのに俺を気遣う姿に心が痛くなる

『彼氏…ですか？』

「はい…」

『別れ…ないんですか？』

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