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【Sho side】
「この箱ここのやと思うんですけど中身何が入ってたかなんてわかんないっすよね?」
東京には似ても似つかない関西弁を話す彼が見せたスマホの画面には、確かに俺があの日Aちゃんに渡したボックスタイプの箱が映し出されていた。
なんでこれがAちゃんに渡したやつかわかったかなんて、そんなのひとつしか答えはない。
この箱はクリスマス用に発注していた試作で、結局クリスマスBOXは別仕様のものに変えたから、ただそれだけだ。
つまりこれを持っているのは彼女以外にはいない。
「恐らく中身はこちらかと、」
恐らく、なんて言ってみたけど本当だったら梱包用の箱だけ見せられたって何を買ったかなんてわかるわけが無い。
一種類しか置いてないわけじゃないし。
「おっ、たしかにこんな形してたかも」
彼は一体誰なのだろうか。
例の彼氏かと思ったけど、それにしては随分若いような気もしてしまう。
「プレゼントですか?」
俺は平静を装って、さも世間話かのように聞く。
「えっ、と、姉ちゃんなんですけど。中身空っぽになっても箱だけ見つめてて買いに行かないから俺がこっそり。」
少し困ったような、恥ずかしそうな顔でそう告げた彼に、俺は胸をなで下ろした。
「Aちゃんの弟?」
「姉ちゃんのこと知ってるんすか?」
「うん、それ渡したのも俺だから。」
カッコつけて言ってみたもののあの日彼女はお金を置いていったから、正直今の発言はめちゃくちゃダサい。
なんや分かってて泳がしたんか〜なんて笑いながらも、彼の瞳は俺を捉える。
「なるほどね、」
何がなるほどなのかは分からないけど、弟くんは満足そうに口角をあげた。
「これ、5つください」
ひとつ売りのチョコレートを5つ。
その数に意味はあるのだろうか。
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みゅう(プロフ) - 最高です泣いちゃいました(TT)本当に恋してるとき胸がギュゥってするやつになってやばいです(TT) (2019年2月11日 23時) (レス) id: e5fba142e0 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 読ませていただきました(^^)心が暖かくなる素敵なお話でした!ありがとうございます! (2019年1月18日 19時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
べりーちゃん - 素晴らし作品でした。ありがとうございました。 (2018年11月3日 8時) (レス) id: 86a2f67dc6 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ひかるさん» 読んでいただきありがとうございます!廉くんのお話公開中ですのでよろしければぜひ! (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - Mt.Wind Bellさん» ぞっこんになっていただけて嬉しいです( ; ; )またはちみつショコラの世界でお会い出来るように、機会があれば番外編などお届けできればなと思っております! (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2018年9月24日 17時