【ハロウィンパレード】会場へようこそ！【企画】 (ページ6)

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スニーキング・アイシクル【鳴神月灯花(トルテ)】ページ6

午前0時。

私は一人、窓からじっとある人を見つめていた。
『私』という存在が生まれたその日に一目惚れしたその人をただジッと。

でも、眠っている彼には視認できない。
仮に起きていても一生気付かないだろう。

いわば、私の『恋』とやらは叶わない恋に違いは無いのだ。

そんな時、私の頭に"ある行事"の事がパッとスクリーンに映るように描かれる。

――――そういえば。

ハロウィンという行事の事。
そして渡された一つの封の事、その内容の事。

『ハロウィンパレード』と名付けられたその行事のルールを思い出す。

「……あ、そうだ」

声を漏らした、でも彼には聞こえない。
妖怪と人という見えない壁があるから聞こえないのだ。

そう、その日だけは人にも妖怪や魑魅魍魎のモノが見える。
先にも言った『見えない壁』が唯一曖昧になる日だから。
つまるところ、その日だけは彼の目に映る。
"つらら女"という妖怪である"氷麗"という存在が。

でも、妖怪としての私を見たって震えてしまうだけだろう。
だから、私が化けるのだ。
妖怪の本分としてでもあるが、その日に全てを掛けるために。

「……楽しみだなあ」

その日の夜は、少しだけ心地よかった。