伸ばした手を２ (ページ5)

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No.55 ページ5

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眠ってしまっていた間もやけに肩が温かかったのは亮平くんの手が肩に乗ってたんだなんて、ぼーっとした頭で考えた。

あれ……でも私、いつタクシーに？

確かにスノの皆とご飯食べてて…それで、どうしたっけ……

あ、何かの割れる音がしたんだ

翔太くんが襖を開けたら男の人の怒鳴り声が聞こえて

ああ、そうだ………

『亮平くん…私、暴れちゃった？』

阿「ううん、そんな事しなかったよ。」

大丈夫。と肩にあった温もりが頭に移動したところで車がとまり、ここで大丈夫ですか。と運転手さんの声。

身体を起き上がらせ、財布を取り出すまでの間に亮平くんが支払いを済ませてしまった。

タクシーから降りればまたしっかりと繋がれた手。

一歩前を歩く亮平くんの背中は出かける前よりも肩に力が入っているような気がして…何だか少し怖い。

エレベーターの中でも終始無言の亮平くん。

部屋の前に辿り着いて、鍵を開けようにも片手を繋がれたままじゃカバンからキーケースも取り出せない。

『亮平くん、手。』

阿「ああ、そうだよね。ごめん。」

『ううん、大丈夫。』

鍵をあけて、お礼を言おうと亮平くんを振り返ると私の視界を亮平くんの胸が隠した。

退院した日よりも強い力で抱きしめられて少し怖いと感じてしまったのはお店での事があったからだろうか。

阿「…A」

『んー？』

阿「何かあったら……いや、何も無くてもいつでも俺に連絡して？」

『いや、いつでもって…』

阿「いいから！」

突然の大きな声に身体が跳ね、それを感じ取った亮平くんは小さくごめんと呟いた。