伸ばした手を２ (ページ30)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:114,155 hit

No.80 ページ30

.

岩「にしても急だな。」

ココアをすすりながら尋ねる照に陽菜から餌付けのごとくポテトを食べさせられているAは苦笑いを浮かべた。

『昨日ね、診察の日だったの。』

病院の日だったのか……

納得して周りの奴らも頷いた。

そんな反応の俺らにクスッと笑いながらAは指先でストローをいじり始めた。

『本当は、告白された日…というか、告白された少しあとに自分の気持ちの答えは出てて……。』

佐「焦らすねー。」

茉「さっくん黙って。」

佐「はい。」

『亮平くんの隣に私が居ることが、当たり前だと思ってるって言われた事が嬉しかったし……次の日にでも返事しようって思ってた。』

でも…とAの笑顔が少し寂しい笑顔に変わった。

『あの日、お風呂場にある鏡に映った自分の身体を見て改めて思ったの……なんて貧相な身体なんだろうって…』

陽「………A。」

隣に座っている陽菜がAの身体をぎゅっと抱きしめ悲痛な表情を浮かべた。

その光景を羨ましいなと思い見ていると茉莉から冷ややかな眼差しを向けられた。

『自分でもこんな身体って思うのに…誰かに見せられるのかって。気持ち悪いって思われないかなって……』

少し離れた席に座っているグループの笑い声がやけに煩く聞こえるほど、Aの言葉に俺らは押し黙った。

照や佐久間も俺と同じように、何を言ったら良いのか、どんな言葉を掛ければ良いのかそれが頭を駆け巡っているはず。

茉「A、あなたの事を本気で好きなら誰もそんな事を思ったりしないから大丈夫。」

陽「身体目当ての男なんかこっちでボッコボコにするんだから！」

『うん…ごめんね？』

俺たちの様子に気づいたAは力なくへらりと笑った。