伸ばした手を２ (ページ18)

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No.68 ページ18

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目的の階にエレベーターが着けば、扉の先で待っていたふっかとぶつかりそうになった。

深「あっぶね、」

阿「ふっか、Aは部屋に入った？」

深「………阿部ちゃん。」

阿「なに？」

深「もう大丈夫？」

阿「うん、さっきはごめん…俺どうかしてた。」

深「ま、頑張ってよ。」

ふっかはそう言って拳をトンっと胸に当てるとエレベーターに乗って降りていった。

ふっかを見送りAの部屋の前に立つと一呼吸置いてインターホンへと手を伸ばした。

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辰哉くんに部屋まで送って貰って部屋の鍵をかけるとその場に座り込んだ。

正直…すごく怖かった。

腕を掴む手の強さ。
見た事のない亮平くんの表情。

その痛みは、迫力は、大地のそれと似ていて怖かった。

私がああさせてしまっていたのだろうか……大地も、亮平くんも。

狂わせてしまったのは……わたし？

呆然としているとチャイムが鳴った。

ゆっくりと立ち上がりドアスコープから覗くと、そこには俯いている亮平くんの姿。

さっきの形相が浮かんできて思わず身体が強ばった。

俯いていた顔が上がると亮平くんはなんとも情けない顔をしていた。

もう一度チャイムが鳴り、それに動かされるよう鍵を開きゆっくりとドアを開ければ所在無さげに亮平くんは立っていた。

阿「……A」

『亮平くん、あのっ…』

阿「ごめんっ！」

こちらがビックリするほどの大声で頭を下げた亮平くんに目を見開いていると

ちょうど隣から出てきたお隣さんもこちらを見て目を見開き固まっている。

『とりあえず中入って！』

亮平くんの腕を引いて部屋の中に入り、そして何故かラグの上に二人で正座して向き合っている。