伸ばした手を２ (ページ13)

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No.63 ページ13

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入口の前に立っている三人の前で車を停めると、ふっかがAは助手席ねと背中を押した。

Aには退院した日もこの前のご飯会でも直接会ってはいたけれど

いざ目の前に現れると思考が停止した。

周りの奴らもどこかソワソワしていたし

でも流石というべきか真っ先に動いたのは陽菜と茉莉で。

正直、Aが潰れるんじゃないかって程に抱きついていた。

それに連られて周りの奴らも口々に謝罪の言葉を並べていったけど、滝沢くんの声で締まる室内。

本番も数ヶ月休んでいたとは思えなかった。

客席にいるファンもAの姿を見つけた途端泣き出す子が何人もいて。

やっぱりA…お前はすげぇよ。

渡「真っ直ぐ帰る？」

『うん…本当はスーパー寄ろうかなって思ってたんだけど、流石に疲れちゃったから。』

渡「そっか。」

宮「そうだ、Aちゃんとご飯食べてる？」

『一応自炊はしてるよ。レパートリーもちょっと増えた！』

深「それは滝沢くんに怒られたからだろ。」

『辰哉くんうるさいよ。』

そういえば。と鞄から携帯を取り出したAがうわぁ…と盛大な溜息をついた。

何事かと信号で止まったのを機にAの手にある携帯を覗き込んだ。

深「どした？」

『いや、スタジオ入ったから携帯の電源切ってて今電源入れたらメールが…』

渡「なに、イタズラ？」

宮「未だそんなことやってる人いるの？」

イタズラだったら良かったんだけど。とAが見せた画面には阿部亮平の表示がズラっと並んでいるのが見えた。