伸ばした手を２ (ページ11)

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No.61 ページ11

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滝沢くんと話すAはやけに嬉しそうで、従兄妹だと知らなければカップルに見えなくもない。

渡「あいつ帰りどうすんのかな…」

いつの間にか隣に居た翔太が心配そうにボソッと呟いた言葉に苦笑い。

送ってく、くらい素直に言えば良いのに。

人が少なくなってくると滝沢くんとAの会話が耳に入ってきた。

待ってれば送っていく的な内容に思わず口が動いた。

宮「滝沢くん、Aのこと良ければ送っていきますよ翔太が車で。」

俺の言葉に滝沢くんとAが振り返り、隣の翔太は、はい？と驚いている。

滝「まだ時間がかかるから送っていってもらえるなら有難いけど、Aどうする？」

『送ってもらえるなら…でも翔太くん迷惑じゃない？』

宮「大丈夫だよ。どうせ暇でしょ？」

渡「おまっ、勝手に……まあ、良いけど…A乗ってく？」

じゃあ、お願いします。と頭を下げたAに便乗するように俺も！とふっかが声をあげた。

車とってくる。と荷物を纏めて一足先に外へ出た翔太をスタジオ前で待つ。

寒さに肩を震わせるとやけにモコモコしたコートが目に入り、耳まで着いているものだから思わず笑えてくる。

『涼太くん、ニケすぎじゃない？』

宮「ああ、ごめんね。やけにモコモコしてるからつい。」

深「かぁいいよ。それ。」

『……これはパパの愛情です。』

お父さん？と聞き返せば小さく頷いた。

『頑固で、私のやることなすこと全部だめ！って…そんな事を言ってたパパが風邪ひいたらいけないから、病室も独りで寂しいだろうってぬいぐるみも……改めて思い知らされました。』

親に愛されてることを。