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まだ眠そうに大きな欠伸をした彼は、抱きしめたまま俺をぐるりと回転させた。
まだ恥ずかしくて、赤くなった顔を隠すようとぴたりとくっつく。
裸だから、体温が直に感じられて気持ちいい。
「おはようのキスは?」
「は、はあ?やだ」
「なんで」
「やぶが自分でしたらいーでしょ、」
「つれねーなぁ、‥‥てかお前さ、初めてだったくせにえろすぎだろ」
「なっ、えろくない!!」
「卒業まで持っとくはずだった理性を一瞬で手放しちゃったなー」
思わずばっと顔を上げて否定するけど、ニヤニヤした顔が腹立つ。
あんなに余裕無さそうだったくせによく言うよ。
そう言おうとしたけど、やめた。
きっと彼は、俺が怖いからできないとか、本当に卒業まで待って欲しいとか言えば、その通りにするだろう。
いつも人のことばっかりで、優しすぎる。
「慧、」
「ん?」
「腰、痛かったりする?」
でも、そういうところが好きだから。
そこもぜんぶ含めて、好きになったから。
「宏太」
「ん、痛い?」
「んーん、‥‥俺もね、すげー幸せだよ」
初めてのキスも、初めてのえっちも、
全部宏太だから。
「、何だよ」
「ふぁ?な、なに?」
「.....くっそ、可愛いな」
ぴとりと彼の胸に密着させられた頭を、ぐしゃぐしゃと撫でられた。
乱暴に髪を扱うのと反対の手は、俺を力強く抱きしめているのに嬉しくて微笑んでしまう。
大ちゃん、やっぱり見る世界が全然ちがうみたい。
不安があっても胸を張って宏太の隣にいられる。
「なーにまたニヤけてんだよ」
「へへ、幸せだなぁって」
「っ、....あーもー、お前まじ反則」
心も身体も繋がれて、ひとつになれて、
宏太の笑顔も、心配してる顔も、こうやって照れてる顔も、ぜんぶ俺のものだから。
幸せの瞬間は、となりで笑い合える今、このときだったんだ。
fin.
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りこ(プロフ) - 裕伊さん» 裕伊さん、お返事遅くなってごめんなさい〜!本当に嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)裕伊さんのコメント本当に嬉しくて天に昇れそうです...。初夜も書くかどうかすごく迷ったのでそう言って頂けると嬉しい限りです(T_T)本当にありがとうございました!! (2017年9月16日 21時) (レス) id: 17e05a7ed7 (このIDを非表示/違反報告)
裕伊(プロフ) - りこさん〜〜!(;;)このふたりが好きすぎて、また読めて幸せですありがとうございます…!!相変わらずぴゅあな伊野尾くんがかわいくてかわいくて悶えました…あとはやぶ先生の理性によくがんばった!って褒めてあげたいです…(誰)幸せ初夜までごちそうさまでした!笑 (2017年8月18日 5時) (レス) id: 9c3cb87535 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 侑葉さん» 侑葉さん、ありがとうございます!ひたすらピュア恋愛をイメージして書いたのでそう言っていただけて嬉しいです(^^)胸きゅんもして頂いて嬉しいです〜!また番外編もよろしくお願いします! (2017年7月3日 20時) (レス) id: 17e05a7ed7 (このIDを非表示/違反報告)
侑葉(プロフ) - 今日見つけて一気に読んじゃいました 笑笑 薮ちゃんの大人な雰囲気と伊野尾ちゃんのピュアさがマッチしてとても面白かったです!伊野尾ちゃんと一緒に胸きゅんしちゃいました (2017年7月2日 12時) (レス) id: e04bce508f (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - あささん» あささん、ありがとうございます〜!そう言っていただけて本当に嬉しいです...!!ピュアなやぶいの自分で書いても可愛いな〜と思ってしまいました(笑)またアップすると思うのでよろしくお願いします〜! (2017年6月26日 20時) (レス) id: 17e05a7ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りこ | 作成日時:2016年5月25日 16時