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スンチョル side
「本当に行うのですか？」
「えぇ、もちろんですよ。Aがそれを望んでいるのですから」
コーヒー飲みますか？という誘いを断るも、俺は目の前の人から視線を外せなかった。
「…うちの医師が言っていました。これ以上Aに…能力を使わせるのは危険だと」
「それは可能性の話しです。現にAは長期間の睡眠以外、特に大した異変もないのでしょう？」
「ですが、」
「スンチョル」
言葉を遮られ、押し黙る。
伸びた手が頬に伸ばされ、軽く触れられた。
自然と身体が固まる。
「今まで幾度となく君のお願いを訊いてきました。次は、私のお願いを訊いてくれてもいいのでは？」
柔らかく笑うその人の異様な圧に、俺は何も言い返せず、ゆっくりと首を縦に振った。
「大丈夫です。むざむざ死なせるような真似はしませんよ。Aの能力は希少なのですから。安心して下さい」
「………」
「ただそうですね…。もし、失敗をしても脳が無事であれば、なんの問題もありません」
その言葉に、俺は目を見開く。
そんなの…彼女の命より、能力が第一優先だと言ってるようなものだ。
ぎゅっと握りしめた拳は振り翳すことも出来ず、ただその事実にひたすら耐えることしか出来ない。
「それにしても、"彼女"がAに掛けた記憶の鍵は非常に強固なものですね」
あれから何年も経っているというのに…。
興味深そうに呟くこの人も生粋の研究者なのだと、しみじみ痛感させられた。
狂ったように能力者について調べるそれは、あのキムジヒョン並か、はたまたそれ以上か。
「それでも流石に綻び始めてきたようでしたし、もしくはAの意思がそうさせたのでしょうね」
「…テミンが黙っていませんよ」
俺が口にしたその名前に、その人は嬉しそうに破顔する。
「えぇ、彼なら必ずAを助けに来ます。もし彼が姿を現した場合は…わかってますよね、スンチョル？」
「…はい」
頼みましたよ。と、似非た笑顔に目を逸らし、俺はその人の部屋から出る。
部屋の前にはユンギが立っていて、
「アンタも大変だなぁ。板挟みでさ」
ニヤニヤと、そんなこと微塵も思ってもないようなそいつの言葉を無視して、俺は歩きだす。
ふと思い出すのは、Aのことが好きだと言っていたあの日のジュンの姿。
「(俺は酷い奴だね…ジュニ)」
お前が大切だと思う存在を、これから奪おうとしているのだから。
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yui(プロフ) - ルカさん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (
レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 伊狐さん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - いつも読ませていただいてます。とっても面白いです。パスワードを教えていただきたいです。今後も楽しみみしてます! (2020年5月22日 2時) (レス) id: 7b2d92024a (このIDを非表示/違反報告)
伊狐(プロフ) - この作品が大好きでお気に入りです！パスワード教えてください！これからも応援しています！ (2020年5月22日 2時) (レス) id: c76b536d3e (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - ジュンピ落ちがいいです！これからも頑張ってください！ (2020年5月11日 23時) (レス) id: 4de243fabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2020年3月30日 22時
